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【水質汚染】オークランドの泳いではいけないブラックビーチ・リスト

なんとも残念なニュースが入ってきた。
オークランド市はこのほど、「水質汚染の激しいブラックビーチ・リスト」を公表し、リスト上のビーチでは観光客や一般市民らは理由なく泳がないようにと呼びかけている。

この記事では、短期旅行者が訪れる可能性のありそうなビーチのリストアップと、なぜこうなってしまったのかを簡単に解説してみたい。

オークランドの水質汚染が激しいビーチ・リスト

まずは、公表された「Black Beaches (水質汚染されたビーチ)」のリストを見てみよう。全部で10か所挙げられている。また、Monitored Beachesという”準ブラックリスト”も合わせて公表されている。

Black Beach list 10 by nzherald

リストだけ見てもマイナーな名前が多いのでどこかわからないかもしれない。地図に落とし込むとこんな感じだ。

こうやってみると、オークランド地域に万遍なく汚染が広がっている様子が見て取れる。

観光でも訪れそうなブラック・ビーチは・・!?

Piha beach。中央の岩の右側にラグーンがある。

この10か所のうち、うっかり遊んでしまいそうなのはピハのラグーンと、ノースショアのミルフォード(ワイラウ・アウトレット)だろう。

ピハラグーンは西海岸の有名なピハビーチの、ライオンロック周辺にある小さな川の河口部(ホリデーパークがあるあたり)のことで、確かにチビッ子たちが楽しめそうな浅瀬が広がっている。川の周囲は草むらになっていてウナギも見られるいい小川だと思っていたけれど・・リスト入りしてしまったのは残念な限り。

ノースショアのミルフォードは、旅行者というよりも語学留学や移住先としてお世話になる日本人が多いと思う。ここに船着き場のあるワイラウ川があるが、その河口部で採取された水から基準を超える汚染が確認されたようだ。

なぜオークランドでは水質汚染が進んでいるのか?

Heard in the street today, I quote: "Drought? What #drought?"

ヘラルド紙のオンラインニュースによれば、たとえば2016年のグリーン・ベイの定期調査では、国の基準の173倍ものバクテリアを計測したという(※1)。「ニュージーランド」と「水質汚染」いう2つの単語は無縁のものだと、僕も含めて多くの人が考えていたと思うけれど、どうやらしっかりと汚染に目を向けなければならないみたいだ。

水質汚染が進んでしまった原因は、言わずもがな、人口の増加にある。もっと厳密に言えば、人口の増加に下水施設が追いついていないということだ。もちろんオークランド都市部には下水設備が整っているが、大雨のときなどは処理しきれない汚水がそのまま海に入ってしまっているという。

旧ワイタケレ市の職員だった方の証言によれば、
「年に20回は処理しきれない汚水が適切な行程を経ずに海に流れた」
という。これが毎年のように続き、あるいは悪化すれば、今回の調査結果も出るべくして出たと言っていい。さらに西海岸側の地域は山間部のため下水処理施設がなく、各家庭に設置される浄化槽に頼っているのが現状だ。今回のニュースを追ってみると、オークランド全体で下水の浄化が追いついていない様子が見て取れる。

「汚いから泳がない」よりも、「どう向き合うか」が大切

このニュースを通じて、
「ノースショアのミルフォードのビーチは汚染されている!」
・・なんてデマが広がらないことを祈るばかりだ。実際に数値が高かったのは川の河口部の話で、ビーチ自体は準リストにすら挙がっていない。

今回禁止されたエリアで泳がないことはもちろんだけど、オークランドはまだまだ人口は増えるし、この問題にはどちらにせよ向き合う必要はありそうだ。汚染が軽微な今だからこそ防げることもあると思う。

ニュージーランドで暮らす四角大輔さんという方が以前雑誌で言っていたことを最後に紹介したい。
四角さんは一時期、湖畔に備え付けられたキャンピングカーで暮らしていて、その湖の水を汲んで飲み、魚を釣って暮らしていたそうだ。その頃の発言が面白い。

「目の前の湖の水を飲んで暮らしていると、どうしても排水が気になって洗剤を使うことができなくなってしまった。汚水は、魚や水を介して巡り巡って僕の体に入ってくるからだ。」

小さな島国に暮らしている限り、僕らも湖畔に住んでいるのとそう変わらない。そこに違いがあるとすれば、水が巡っているという事実を実感できるかどうかだけなのだと思う。

※1- 汚染の数値に関する細かいデータはニュースにはなかったけれど、おそらくBOD(生物化学的酸素要求量)のことを言っているんだろう。これは有機物が多い川ではバクテリアが増えて酸素使用量が増えることを利用し、それを数値化して汚染度を図る手法のことをいう。日本の基準は160mg/L、対してNZは140mg/L。やはりというかNZの方が基準は厳しい。

参考記事:
nzherald.com – Dirty water: Swimmers warned off beaches
Auckalnd city council – Coastal and marine

ニュージーランドの川の水質汚染についてはこちら ↓

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