3連休を利用して、ランギトト島とモトゥタプ島をテントを背負って歩いてきた。
ランギトト島はオークランド中心部からフェリーですぐいける島としてよく知られるが、モトゥタプ島というのはランギトトと短い橋で結ばれている隣り合わせの島で、こちらは貴重な鳥たちの保護区になっている。
それだけに2日間もこれらの島を歩くと、たくさんの珍しい鳥に出会うことができた。ここではこの2島で見られる鳥、特に本島ではすでに絶滅してしまっているような固有種(絶滅危惧種)を写真で紹介していこう。
貴重な鳥1:タカへ
モツタプ島にはタカへがいる。タカへは飛べないクイナ科の鳥で、かつてはNZ全土にいたが現在では450羽ほどしか確認されていない超がつくほど貴重な鳥だ。もちろん、ニュージーランド固有種にして絶滅危惧種に指定されていて、限られた保護区でのみ見ることができる。
オークランドでこのタカへが見られるのは同じく沖合の島「ティリティリマタンギ島 Tiritiri matangi Island」がよく知られているが、モトゥタプ島にも近年になって何羽か放たれ、繁殖している。僕がテントを張ったモトゥタプ島のHome Bayの芝生エリアには、タカへの一家(4羽)がいた。あまりにも普通にテントのそばを歩いているものだから、こちらがびっくりしてしまったほどだ。
貴重な鳥2:ブラウン・キーウィ
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ここ10年ほどの植林活動が功を奏して、モトゥタプ島にもキーウィが放たれている。
キーウィにもいくつか種類があることは前にも記事にしたが、モトゥタプにいるのは厳密には「コロマンデル・ブラウン・キーウィ」と呼ばれる種類で、これは名前の通りコロマンデル半島に暮らすキーウィ。
この森はキャンプ場Home Bayからもすぐなので、一泊すれば夜にキーウィ探しに出かけることもできる。僕も夜中の10時ごろに1時間ほど歩いてみたけれど、残念ながら姿は見られず、一回鳴き声を遠くに聞いただけだった。うーん、残念。
貴重な鳥3:カカリキ(レッド・クラウンド・パラキート)
マオリ語でKakariki、英語でRed Crowned Parakeetという、ニュージーランド固有のインコの一種。本島ではほとんど見られず、沖合の保護区に生息する。鮮やかな緑一色の体に、赤のパッチが入った頭が特徴的だ。カカリキというのは「緑色の小さなインコ」という意味がある(そのままだ!)。
モトゥタプ島ではかなり繁殖していて、森のそばを歩くとよく騒がしい声を聴くことができる。テント場のまわりを緑鮮やかな鳥が飛び交う光景は見事の一言だった。ランギトト島でも見られるようになってきたので、「ケケケケケ・・」という独特の鳴き声が聞こえたら注意して声の主を探してみよう。
貴重な鳥4:ティエケ(サドルバック)
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和名のセアカホオダレムクドリの方がこの鳥をイメージしやすいかもしれない。
マオリ語でTieke、英語ではSaddlebackという、貴重なホオダレムクドリの仲間で、やはりニュージーランド本島の自然ではすでに絶滅してしまっている。
ランギトト・モトゥタプ両島に生息し、この記事で紹介する貴重な鳥たちの中では最もみられる鳥だろう。僕はランギトト島の頂上でランチを取っているときにティエケを見たこともある。そのときは周りの誰もこの鳥に気づいておらず、「珍しい鳥がすぐそばにいるよ!」と教えてまわりたい気分だった。
貴重な鳥5:ホワイトヘッド
ランギトト島を歩いているとき、聞きなれない、でもどこかで聞いたことがある鳴き声が聞こえてきた。「ジュジュジュジュ、ジュジュジュジュ」とお互い鳴き交わすような小さな声。ちょっと立ち止まって考えると、それはティリティリ島で聞いた声のような気がした。「White head」というネーミングの通り頭が真っ白なスズメ大の鳥が、やはり数羽で会話を交わしながら近づいてきて、僕はランギトトにいるとは知らなかったので心底驚いてしまった。
ホワイトヘッドはニュージーランドの固有種で、北島にしか生息していない。本島でほぼ見ることはできず、沖合の保護区にほとんどの個体が生息している。オークランド周辺なら、ティリティリマタンギ島とランギトト&モツタプ島に多く、そしてオークランド西に広がるワイタケレの森にも若干ながら生息している。
貴重な鳥番外:カッコウ
絶滅が心配される鳥ではないけれど、今回のトレッキングで見られた鳥で最もうれしかったのはShiking Cuckoo(シャイニング・クーク―=和名:ヨコジマテリカッコウ)に出会えたことだった。
小ぶりな木の下に張ったテント中にいると、頭上から「ピーピーピーピー」という連続した音が聞こえ、それがあまりに長く続くのでカメラを片手に外に出てみた。見ると、小さな2羽の鳥が、ヒナにしては不釣り合いに大きな鳥に餌を与えている。
「カッコウだ!」
とすぐに気づいてカメラを構えた。鳴き声は何度も聞いたことがあるけれど、実際に目にしたのはこれが初めてだった。
カッコウは「托卵」といって、他の種類の鳥の巣に、自分の卵を産み付ける習性をもっている。ズルいというか、賢いというか、しかしこれがカッコウの生きのびるための戦略で、生まれたカッコウのヒナは真っ先にほかの卵を蹴落として餌を独占して育ってしまう。僕が見たのも、Grey Wabler(グレイウォーブラー)というムシクイ科の小さな鳥にせっせと餌を運んでもらう、大きなカッコーの巣立ち間近の姿だった。
モトゥタプ島への行きかた
モトゥタプ島のトレッキング・コースについては改めて別の記事にするとして、ここではざっくり概要を書いておこう。
モトゥタプ島へダイレクトで行くフェリーは定期就航しておらず、もっぱらランギトト島行のフェリーを利用する。ランギトト島の船着き場から、海岸にそって一直線に東に進むとモツタプ島だ。両島は短い橋でつながっていて、いつでも渡ることができる。
モトゥタプ島のキャンプ場は東側にある「Home bay」一択。ランギトト島を2時間半、モトゥタプ島に入ってから1時間半の、合計4時間のトレッキングになる。景色はいいけどチョット距離が長いので、経験者用のコースと言えると思う。
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Last Updated on 2022年9月22日 by 外山みのる
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