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【川の水質汚染】 NZの川の50%が基準値超との調査結果。汚染の原因は!?

夏も真っ盛りになってきた1月終わりのニュージーランド。
ビーチや川で水遊びを楽しむ人が増えるこの時期に、意外なニュースが入ってきた。

なんでも、ニュージーランドの河川では水質汚染が進み、すでに50%もの河川は「泳ぐのに適さない」ほどになっているという。

いったいどういうことなんだろう?自然がいっぱい・環境に優しいはずのこの国で、いったい何が怒っているんだろう。このページでは、ニュースで示された具体的な数値とともに、「ニュージーランドの川の水質汚染」を探ってみたい。

都市部の河川は全てNG!水質調査の結果は・・

Taking a swim

おそらくこの記事にはいろいろと数値が出てくることになるので、まずは端的に調査結果をまとめて箇条書きにしてみよう。
2009~2013年の間に行った、NZ全国928箇所の河川で水質調査の結果によると・・

  • 都市部(urban area)ではすべての河川の汚染が基準値を超えた。
  • 牧草地帯(pastoral area)を流れる河川の91%も基準値を超えた。
  • 同じく、人工林(exotic forest)を流れる河川の46%、天然林エリアの29%が基準値を超えた。

つまり、国立公園やリージョナル・パークのような人口のすくない土地以外の水質は、軒並み基準値を超えてしまったようだ。

ここでいう基準値というのは、「水泳や水遊びをしても問題ない水質( the minimum acceptable state for “primary contact”)」のこと。ニュージーランドの一般的な水質基準値は126CFU/100ml。水100mlあたりにどれくらいバクテリアがいるかを数値化した「CFU」という単位を使ったもので、これは高い方が当然『汚染』が進んでいることになる。
これを踏まえて、上に挙げた各エリアの平均値は以下の通りとなっている。

  • 天然林エリア: 44.1 CFU。
  • 人工林エリア:114.2 CFU。
  • 牧草地エリア:258.4 CFU
  • 都市部エリア:671.5 CFU

ニュージーランドの河川はその5割弱が天然林エリアを流れ、残りの5割を牧草地(46%)、人工林(5%)、都市部(1%)を流れているという。これらを照らし合わせると、表題のように「ニュージーランドの河川の約50%は泳ぐのに適さない」となる。

それにしても、都市部エリアの平均は”泳いでもいい”基準値の5倍…自然が豊かさそうなニュージーランドで、なぜこんなに汚染が進んでいるだろう?その原因は、誰もが知っている、「あの生き物」によるものだ。

水質汚染の原因は何か?

ニュージーランドにおける河川の汚染の原因は、実はこの国の主要産業である羊や牛などの家畜たちだ。

牧草地帯というのは見た目こそ緑で気持ちがいいけれど、保水能力や浄水効果という点では自然林に遠く及ばず、まさに更地に毛が生えたようなもの。ここに人口よりも圧倒的に多い何千万頭もの牛や羊が毎日排泄をしているのだから、その多くが川に流れ込むのも当然と言えば当然かもしれない。牧草地エリアの9割が基準値を超えたというのは、まさにこの家畜の排泄によるものだという。

牛の牧場に関してはNZでは一定のルールを設けて汚染を予防しているというものの、こればかりは一次産業で国が成り立つ以上、政府が相当本腰を挙げないかぎりどうしようもないように思える。

また、都市部の河川ではすべて基準値を超えたというのは、前回「泳いではいけないブラックビーチ・リスト」の記事で挙げたように、人口の急増に下水/汚水処理が追いついていないことが一番の原因となっている。こちらについては記事の最後にリンクを張るのであとで読んでみてほしい。

川遊びをする前に、地図で水源を確認しよう

Gambia River

僕たち旅行者や一般市民ができる対策はあるのだろうか?

今回の調査では具体的な各調査地の数値はあがっていなかったけれど、ニュージーランドで川遊びをするときはその川の水源や上流部に何があるかを確認するといいと思う。これは飲み水を現地調達しながら歩くトレッキングでは必ず使うテクニックでもある。森を流れるキレイそうな川でも、上流部に牧草地があるなら細菌が多くいる可能性は高い・・そんな具合に、地図をみればある程度なら汚染度を予測することができる。

また、調査がどれほど正確に行われたかは知る由もないけれど、郊外のすべての川が常に汚染されているわけではない。たとえば雨の前後は地表面のものも川に流れるからどうしても数値は上がるだろうし、逆に晴れていれば水質は改善されていくはず。一概に「郊外の川はだめだ」と決めつけてしまうのも、またもったいないことだと思う。

あまり誤解しないでほしいのは、この記事は「NZの都市部と郊外の川は汚い!」と決めつけるために書いたのではないということ。ニュージーランドにはニュージーランドなりの水質汚染がある。チョット残念だけど、それをしっかり踏まえたうえで、この国の大自然を楽しんでほしいと思って、こういうニュースも取り上げてみた。

個人的には、冬の植林シーズンには必ず顔を出して、ニュージーランドの自然保全に力を貸していければと思っている。

記事元:NZ Herald – Swimming in a river? Be ‘vigilant’, scientist says

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