ニュージーランドの町を歩いていて、遠くにニョキっとひときわ大きな木が目に入ったことはないだろうか?
その木はきれいな三角形を描き、てっぺんには星マークがついているようで、まるでクリスマスツリーみたいだ。
僕はずっと前にワーホリで初めてニュージーランドに訪れてから、なぜかずーっとこの木の名前が気になっていたのだけど、調べてみると案外簡単に名前にたどり着くことができた。原産地も「ここ?」と思うような面白い場所だったから、合わせてご紹介してみよう。
ニュージーランドでよく見る“クリスマスツリー”みたいな木。名前は・・
googleで「tall tree, star, conical, NZ」と検索をかけてみると、ホンモノのクリスマスツリーに混じって上の写真のような木もさっそくヒットした。調べてみると、この木の名前は、
Norfolk Island Pine(ノーフォーク・アイランド・パイン)
というみたいだ。名前のままに、ノーフォーク島という島が原産地で、Pine(松)とはついているが、厳密には松ではなく、ナンヨウスギ科の植物。高さは最大で65mにもなる。高い建物のないニュージーランドで、どうりでこの木が目立つはずだ。
さて、名前が分かったところで、次の疑問。
「ノーフォーク島ってどこ?」
アフリカや南米かな?と思ったけれど、これもググってみると、予想外の場所にあった。
ノーフォーク島とは?
ちょーっと小さいけれど、この島!
ちょうどニュージーランドとオーストラリアの中間地点にあり、オーストラリアの領土に属する島だ。ニュージーランドでもノーフォークパインがよく植えられている理由は、この地理的近さによるものだろう。(ニュージーランドのは自生ではなく植林されたものみたいだ。)
ノーフォーク島の最大産業は、この木の輸出!
面白いのは、とりたてて何もない南太平洋の孤島のノーフォーク島のイチバンの稼ぎ頭は、この「ノーフォーク松の輸出」だという。実際、国旗のような島のシンボルマークにも、真ん中にこの松が入っている。
島の歴史は浅く、西欧人に”発見”されたのは18世紀に入ってから。もともとオーストラリア本土と同じように囚人の”流刑地”として開拓され、現在でも約2,000人が住んでおり、ノーフォーク・パインの種苗生産や輸出に従事している。
また残念なことに、かつてはたくさん珍しい鳥がいたようだ。流刑地という成り立ちゆえなのか、乱獲と開発によってほとんどの固有種は絶滅してしまった。
木を一つとってみても、調べてみると歴史や周辺諸国との関係へとつながっていく。園芸や植物を本業としている僕にとって、これはこの仕事の面白さの一つだ。他にもきっと面白い歴史を持った植物もあるだろうから、また紹介できたらと思う。
Last Updated on 2022年9月23日 by 外山みのる
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