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実は火山の真っただ中のオークランドシティー。次の噴火はいつ!?

実は火山の真っただ中のオークランドシティー。次の噴火はいつ!?

抱える人口は150万人と、ニュージーランド最大の都市として知られる北島のオークランド・シティー。

日本のように地震も少なく、オーストラリアのように山火事も少ない。夏は30度に届かず冬は氷点下を下回ることも少ない。こうして挙げてみるととても過ごしやすい都市だけど、実は大小50もの噴火口を抱える火山地帯のど真ん中に作られてた都市であることはあまり知られていない。

さて、そうすると気になるのは、「オークランドでは火山の噴火はありうるのか?」ということだろう。今日はオークランド市が発表しているデータやニュースから、その可能性をひも解いてみよう。




あのマウント・イーデンも!?死火山だらけのオークランド・シティー

オークランドの観光名所マウント・イーデン。

 

「マウント・イーデン」、「マウント・ヴィクトリア」、「マウント・ウェリントン」、「マウント・アルバート」・・オークランド市のマップを眺めていると、「マウント」と名がつく地名がとても多いことに気が付くだろう。何気なく接していると気が付かないけれど、調べてみると実はこれ、すべてかつての火山の噴火跡だ。

オークランドは全域が『The Auckland Volcanic Field (AVF)』つまり『オークランド火山地帯』として知られていて、360平方キロの範囲に実に50以上もの「ベント」と呼ばれる噴火跡が残っている。

地震も台風も山火事も少ない過ごしやすい都市かと思いきや・・実は火山活動の活発な地域だったのだ。

最後の噴火は、誰もが知ってるあの島

25万年も前から定期的に噴火を繰り返してきたとされるオークランドの火山群。その最後の噴火は、約550年~600年前までさかのぼる。600年前と言えばまだヨーロッパ人がNZの土地を発見しておらず、先住民族のマオリ族が森に暮らしていた時代のことだ。

600年前の噴火はどこで起こったんだろう?

その答えば、実はオークランドを訪れたことがある人なら必ず一度は見ている、あの島だ。

オークランドで最後に噴火したのはランギトト島。約600年前のことだった。

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そう、オークランドの沖合に浮かぶ三角形の島、ランギトト島

600年前のある日、突如海底火山から噴煙を上げると、何もなかった海にまるで一夜城のようにランギトト島が形成されたという。面白いことにランギトト島と隣り合わせにあるモツタプ島には当時マオリ族が暮らしていて、その噴火の様子は代々部族の間で伝承されてきたという。

すぐ隣に暮らしていたはずのマオリ族が生き残っていることや、少し離れたティリティリ島という島には樹齢800年~1000年と言われるポフツカワの木が生きていることを考えると、ランギトト島の噴火もふくめ、オークランドで起こった噴火は大規模噴火ではなく、どうやらやはり「ベント」と呼ぶのが妥当な小規模な噴火が多かったのだろう。

オークランドで火山の噴火はありうるのか?

次の火山はいつ? by Flicker

 

でも、たとえ小規模とはいえ、人口150万の都市のすぐそばで噴火されてはかなりの影響がでることは必至だ。

「今後の噴火はあるのか?そして予知できるのか?」

この疑問については、ニュースが伝える科学者の話ではこう説明されている。

これまでの傾向から、オークランド火山地域で噴火する頻度は1000年に一度ほど。すでに600年前に噴火していることを勘定にいれると、オークランドで人生80年を過ごしたとして、その間に噴火が起こる可能性は「8%」と試算されているそうだ。

また、既存の50以上ある死火山から新たな噴火が起こるよりも、600年前に突如ランギトト島ができたように、おそらくまだ知られていない―おそらくは海底の―新たな「ベント」から噴火が起こる可能性が高いという。

専門家でさえ規模も噴火期間も分からないとニュースは書いているけれど、火山性の地震活動が観測されればある程度の準備期間はあるはず。もし1000年に一度の災害に直面しても、冷静に対応できるように情報収集は怠らないようにしておくようにしよう。

Last Updated on 2022年9月25日 by 外山みのる

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