先日、日本からNZに旅行に来ていた方にガイドブックを見せてもらう機会があった。それは誰もが知ってる「歩き方シリーズ」の最新版で、人気なだけあって写真がふんだんに使われ、各地域の見どころが所狭しと紹介されていた。
でも、不思議なことにその方はガイドブックを片手に持ちながら「北島ではどこを観光したらいいんでしょう?」と僕に訪ねるのだった。確かに、これだけ紹介されていたら、初めてNZに来た人は逆にどこに行ったらいいのかわからくなってしまうのも無理はないと思う。
そこでこの記事では、NZ北島在住で、ほとんどすべてのメジャーな観光スポットを経験済みの僕が特にお勧めする、「ニュージーランド北島で絶対に行ってほしい観光スポット」をたった5つだけに絞ってお伝えしたい。日程的にこれらすべてを周るのは難しいかもしれないけれど、一つでも訪れることができれば、きっと費やした料金や手間以上の”一生モノ”の風景に出会えると思う。
1.ワイトモケーブの土ボタル
NZ北島の観光ツアー、特にオークランド発のツアーには必ず名前が載っている「ワイトモケーブ Waitomo Cave」。
大きな洞窟の天井にまるで天の川のように青白く光る土ボタルたちを見ることができる神秘的な場所だ。
土ボタル自体はNZ全土に生息していて場所によっては川べりなどでも見ることができるが、さすがに「ワイトモケーブ」は別格の感がある。地下洞窟に広がる別世界。自然はまだまだ知らないことばかりだ、と心の底から思わせてくれる。鑑賞方法も、ラフティングをしながらだったり、カヌーに乗ったり、歩いて散策するなど選択肢が多いのもいい。
下の動画はナショナルジオグラフィック作成の360度動画。雰囲気がよく伝わる素晴らしい映像をご覧あれ。(高画質に設定してみてほしい)
2.トンガリロ・クロッシングでトレッキング
ニュージーランド最古の国立公園にして、世界遺産にもなっている「トンガリロ国立公園」。映画「ロードオブザリング」の“滅びの山”のロケ地でもある。
この広大な国立公園のハイライト部分を、7~9時間ほどかけて歩き抜くトレッキングコース「トンガリロ・クロッシング」はあまりにも有名だ。多くの旅人が北島のハイライトとしてこのトレッキングを挙げるのは、体力的にキツくなってくるコースの後半、登りきったその先に火山湖と奇岩が織りなす息をのむ絶景が広がるからだ。
僕はこの「トンガリロ・クロッシング」のコースを含めた、2泊3日の周遊コースを歩いたことがある。あいにくの天気だったけれど、森林限界を超えた先の火星のような奇岩群、エメラルドグリーンの火山湖、人が米粒のように見える景色の広がり、どれをとっても“さすがはニュージーランド”と思える一級品の景色だった。正直「トンガリロ・クロッシング」でさえかなりきつめのコースだけど、やる気さえあれば誰でも完走できるはず。苦労しないと、見えない景色もある。冬場は雪でクローズするが、ぜひトライしてみてほしい。
3.NZ最大の巨木(ワイポウア・フォレスト)
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僕個人的には、ニュージーランド北島で一番行ってほしい場所、ワイポウア・フォレスト。北の果てにあってアクセスが大変だけど、一日かけて屋久島の縄文杉を見に行くように、例えわざわざ一本の木を見に南半球までやってくるとしても、それだけの価値があるスポットだと思う。
樹齢約2000年のNZ最大の樹「タネ・マフタ」、樹齢ではさらに上の2000~3000年ともされる「テ・マツア・ナヘレ」・・紀元前から生きてきた木々を目の前にするという経験は、人によっては自然と涙が溢れるような旅のハイライトになる可能性を秘めている。
僕が実際に足を運んで、特に素晴らしいと思ったのは“彼ら”が生きる森そのものだった。樹齢1000年を超えるような巨木がそこかしこにあり、ほとんどすべての木々は上から下までコケや着生植物でびっしり覆われている。気の遠くなるような地球の時間の流れを肌で感じる。これはワイポウアでしか味わえない類のものだと思う。
4.ロトルアのマオリ・ヴィレッジ
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僕自身も、そして僕の周りの友人たちも軒並み高評価を与えているのが、ロトルアにある「マオリ・ヴィレッジ」だ。「ニュージーランドで生のハカ・ダンス(マオリ族の戦闘舞踊)が観たい!」と思っている方も多いはず。その夢はロトルアで叶えてしまおう。
入場料はHPの正規料金で1人120ドル~くらいするけれど、実際に行ってみての感想は「たった120ドルでは申し訳ない・・!」と思えるくらいで、たとえ200ドル払っても行く価値はあると思う。上述のハカダンスは本格的で素晴らしいし、そのあとにはマオリ族の伝統料理「ハンギ」という蒸し料理をバイキング形式でお腹いいっぱい食べられる。さらには30分近くもマオリ族の歴史や伝統について説明してくれ、敷地内にある湧水の川や野生のウナギなどが見れるガイドウォークもしてくれる。
もちろん、コストパフォーマンスだけではない。よくある箱もの系のお気楽なショーという雰囲気はまったくない。解説にせよ、ダンスにせよ、一貫してマオリ族の誇りのようなものを感じられたことが、僕は何よりうれしく、記憶に焼きついた。ロトルアのマオリビレッジは、ニュージーランドにおける先住民族の立ち位置を肌で感じられる最高のスポットだと思う。
マオリビレッジはいくつかあるようだけど、僕がいったのは「Mitai Maori Village」。ロトルア市内のホテルから送迎もしてくれる。
5.タラナキ山の絶景(エグモント国立公園)
地図で見ると、北島の西部に丸く緑色に縁どられた地域がある。ニュースプリマス市にある、「エグモント国立公園 」がそれだ。富士山のようなきれいな三角錐の山「タラナキ山」が特徴的で、映画「ラストサムライ」のロケ地としても使われた。ロンリープラネット2017年度の「行っておきたい場所」の2位に選ばれたのも記憶に新しい。
僕の経験の範囲内では、ここタラナキ山の森が、ニュージーランドの北島で最も美しい自然だった。上述のワイポウアも、トンガリロも、それぞれ特徴的で素晴らしいのだけど、森の緑の美しさ、植生の豊富さ、濃密さという点では、タラナキの森に軍配が上がる。
ポウアカイ・サーキットという1泊2日(もしくは2泊3日)の山小屋泊トレッキングや、ポウアカイ・クロッシングというデイウォーク、またはタラナキ山頂上を目指す登山などが選べる。そのどれもが、「わざわざタラナキまで来て良かった・・!」と思えるクオリティがある。特にノースエグモント・ビジターセンターからポウアカイ・ハットにかけての森は、何時間でも歩いていたいと思える美しさだった(下の写真)。
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この記事で挙げたうちの1つでもいいので、足を運んでみてほしい。きっといつもの旅行とは違う、忘れられない体験が待っているはずだ。
Last Updated on 2022年9月25日 by 外山みのる
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