NATURE ニュージーランド

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巨木カウリを観る前に立ち寄りたい。マタコヘの「カウリ・ミュージアム」は驚きがいっぱい

巨木カウリを観る前に立ち寄りたい。マタコヘの「カウリ・ミュージアム」は驚きがいっぱい

ニュージーランドでちょっと一風変わった旅がしたいと思ったら、僕は迷わずオークランド以北の「ノースランド」をおススメしたい。NZという国が産声を上げた「ワイタンギ条約」の締結地ワイタンギをはじめ、NZ最初の首都・ラッセルなど、ファー・ノースと呼ばれる地域にはちょっと開拓時代に思いを馳せるような魅力的な土地がたくさん眠っている。

『Nature ニュージーランド』としてはやはりNZ最大の樹・”森の神”こと「タネ・マフタ」も外せない。直径4.4m・高さ51.5mもの大きさを誇るカウリの巨木については何度か記事にしたが、一本の樹を目の前にして涙を流す人も多いくらい、ここは本当にインパクトがある。

さて、ノースランド旅行をする際に、特に「タネ・マフタ」のある森に向かう際に、もう一か所どうしても立ち寄ってもらいたい場所がある。それが(ちょっと前おきが長くなったけれど)、今日紹介するマタコヘという街にある「カウリ・ミュージアム」だ。地味な立地ながら予想以上に驚きでいっぱいの博物館はわざわざ訪れる価値がある。写真もたくさん使ってこの博物館の魅力に迫ってみよう。

マタコヘのカウリ・ミュージアム

P1013022 マタコヘ カウリミュージアム
マタコヘ カウリミュージアム

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マタコヘは、オークランドから北西に約1時間半、ダーガビルという街の手前にある小さな集落のような町だ。この町の唯一と言っていい観光スポットこそが、「カウリ・ミュージアム」。国立ではなく民営の博物館だけど、ことカウリやノースランドの歴史に関しては間違いなくニュージーランドNo.1だろう。

入場料は大人$25。ちょっと値段は張るけれど、施設のスタッフ曰く「しっかり見れば2時間はかかる」ほどの充実の展示内容なので、その価値は十分にあるはずだ。

ちなみに補足として・・。カウリというのはNZのノースランド地方とコロマンデル半島にのみ分布する樹のことで、樹齢2000~3000年も生きることで知られている。幹が太く枝が少ないことからむかしは伐採の対象にされ、今では政府によって完全に保護されている貴重な植物でもある。カウリミュージアムはそんな自然(カウリ)と人間の関わりや歴史を今に伝えてくれる貴重な施設と言っていい。

最大のカウリとして知られるtane mahuta =森の神

カウリ・ミュージアムの見どころ1:想像以上の美しさ!樹の宝石「カウリガム」

カウリガム - カウリミュージアムカウリガム - カウリミュージアム
カウリガム – カウリミュージアム

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ニュージーランド初期の入植者たちがこぞって収集したという「カウリガム」。簡単に言えば木の樹液が長い年月をかけて固まった「琥珀」のことで、磨けば透明感のある黄金色になることからNZの“宝石”として扱われるほど希少価値のあるものだ。

そんな19世紀のブッシュマンたちが追い求めた宝石「カウリガム」が部屋中にこれでもかと展示された地下展示室は、まるで宝石箱の中に入ったようで、この部屋だけでも間違いなく入場料分の価値はあると思う。中には大昔の虫が閉じ込められたものもあって、それぞれの表情を見ているだけで何十分も時間がたってしまう。

昔はカウリの木材だけでなく、このカウリガムも”宝石”としてよい輸出品になったそう。今でもミュージアムのお土産コーナーでカウリガムを使ったペンダントなどが売られているので、好きな人はお土産に買うこともできる。

カウリ・ミュージアムの見どころ2:タネマフタよりさらに巨大なカウリに衝撃・・!

カウリミュージアム。この壁画の意味は・・!!?
カウリミュージアム。この壁画の意味は・・!!?


展示ルームはいくつにも分かれているのだけど、奥の方の展示室に行くと、壁一面に何重にもマルが描かれているのが目に入ってくる。僕は最初、実際にその広々とした部屋に入って遠くから“壁画”を見ても、その意味がまるで分らなかった。でも、近づいてよく見ると・・。そこには、「マオリ語名の名前」に加えて、「切り倒された年代」が書かれていた・・。
そう、上の写真の丸は、信じられないことにかつてニュージーランドに実際に生えていたカウリの幹の直径を描いたものだったのだ。左下の人と比べてみると、その大きさがよく分かる。

ちなみに、現存のNZ最大の樹「タネマフタ」は、最初に書いた通り幹の直径は4.4m。しかし、カウリミュージアムによればそれよりさらに倍の8.54mもの直径を持った「The Great Ghost」というカウリもあったらしい(記録上最大だったようだ)。直径8mもの樹・・いったいどんな生命だったんだろう!?

こちらはカウリを使った別の展示物。年輪を見ると約2000年前まで遡る。年輪の中心付近には「(この頃に)イエス・キリスト誕生」と書かれていた….!!

カウリ・ミュージアムの見どころ3:ノースランドの見方が変わる!歴史が思った以上にオモシロイ

カウリミュージアムの調度品の数々

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この博物館は展示方法に工夫が凝らされていて、最初にカウリ材を使った調度品や、19世紀の人々の生活風景の再現コーナーがあり、その後から「どうやってカウリ材を切り出したのか?」について実際に使った道具や作業風景の展示が始まるようになっている。

展示品の後半に入って革命的な道具「エンジン」が登場・・カウリミュージアム

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面白いのが、最初期のブッシュマン(きこり)の道具類は本当に小さく(おそらく本国で使われていたような)普通ののこぎりなどが登場する。それが年代を追うごとに巨大化し、やがでチェーンソーやブルドーザーが登場、最後は伐採から加工まで自動化され効率的に伐採ができるようになっていく。おかげで120万ヘクタールあったと言われるカウリの森は現在5%未満の4000ヘクタールしか残っていないという負の側面はあるにせよ・・、これらの展示にノースランドに暮らしたかつての移民たちの約200年間が凝縮されているようで、本当に見ごたえがある。

カウリ一本物の巨大な作品。カウリミュージアム

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ノースランド旅行で何気なく通り過ぎる小さな町にも、かつてそこで奮闘した人々の生活があったのかな。そんな視点で町をみると、きっとまた違う発見や出会いにつながっていくような気がする。マタコヘの「カウリミュージアム」は、ぜひ旅の最初に訪れてみてほしい博物館だ。

カウリ博物館のホームページはこちら

参考文献:
wiki – Agathis australis

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園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

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