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オークランドの原生森が立ち入り禁止になるかも!?その意外な理由とは・・

NZのアウトドア好きにはちょっと不安なニュースが入ってきた。
NZメディアのStuff.comやMaori TVのニュースによると、近い将来、オークランド近郊の原生林「ワイタケレ自然公園(Waitakere Regional Park)」への立ち入りが禁止になってしまうかもしれないという。

その原因は・・原生林にここ5年で増えてしまったあるモノによるらしい。僕も先日ハイキングをして実際の現場を見てきたので、どうして「立ち入り禁止」なんて極端な話が持ち上がったのが、解説してみたい。旅行者にも関係する話なので、オークランド近郊でハイキングやアクティビティをされる方は、一度目を通しておいてほしいと思う。

オークランド「ワイタケレ自然公園」が立ち入り禁止に!?その理由とは・・

大都市近郊に広がる、1万6千ヘクタールもの広さを持つワイタケレ自然公園(Waitakere Regional Park)。総延長250km以上ものトレッキングコースが設置された、市民にとって気軽にアクセスできる原生林地帯だ。

このワイタケレは、NZ固有の木・カウリの分布地としても知られている。カウリというのはとんでもなく巨木に育つ木で、きっと「カウリ」を知らなくても、NZ最大の木「タネ・マフタ」の写真なら見たことがある人は多いんじゃないかと思う。

最大のカウリとして知られるtane mahuta =森の神 (ワイポウア・フォレストにて筆者撮影)

 

ところが、ワイタケレではここ10年ほどの間に、カウリが真っ白になって枯れてしまう現象が起こるようになった。
調べてみると、これはカウリを枯らす病原菌「カウリ・ダイバック(Kauri Dieback)」が蔓延してしまったことが原因らしい

2011年には約8%の感染率だったのが、2017年の最新調査では一気に約20%にまで上昇。約5本に一本が病気にかかっている計算になり、このままではこの先十数年でオークランドのカウリがすべて感染してしまう可能性さえ出てきてしまった。

病気が広まった原因。
それは、残念ながら(個人的にも本当に残念なことなんだけど・・)トレッキングを楽しむ人間の移動によるものだ

オークランドカウンシル発表の最新調査結果。黒い点がカウリ・ダイバック病の発見場所。いづれもハイキングの人気スポットだ。

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靴底のドロにくっついた病原菌が森に広がると、新たな宿主を見つけてその木を枯らし、胞子を出してまた隣のカウリに感染してしまう。言ってみれば、250キロのトレッキングコースが菌の通り道になってしまったのだ。いまのところいったん病気になった木は治療する方法がなく、とにかく菌が移動しないように予防するしかない。そこで、「人の出入りを禁止しよう」という流れが持ち上がってきたのだった。

あまりにかわいそう・・僕が実際にみたカウリ・ダイバック病

この記事を書いてる2017年8月、僕はワイタケレ自然公園の南端のトレッキングコース、ワティプ(Whatipu)を歩いてきた。コースタイム4時間ほどの中級コースに絶景が連続する、個人的にも「ワイタケレのベストコース」の一つだ。

ここワティプは、上のカウンシルの地図でいうと左下の黒い点が重なっている地域、つまり病原菌の確認された場所でもある。カウリ・ダイバック病を知ってから改めて歩いてみると、かなりカウリの被害が広がっていることが見て取れた。山の頂上から眼下の森を眺めると、立ち枯れした白いカウリがそこかしこに日光を反射しているのが見える。森に入り、明らかに若いカウリが半死半生のような姿で立っているのを前に、幹に触れながら泣きたい気持ちになってしまった。

3000年も生きるカウリが、たった100年足らずで病気に負けて枯れている。それが人間のハイキングのせいだとしたら、なんて情けないことだろう。

立ち枯れするカウリ。ワイタケレにて2017年8月撮影

NZ北島でトレッキングをするなら必ず靴の消毒を!

もちろん、立ち入り禁止を施行する前にやれることはたくさんある。
何よりまず、山に入るハイカーそれぞれが靴の消毒をすることだ。ニュージーランドでは、カウリのある森のコースの入口には、必ず消毒液とブラシが設置されているので、これをメンドウくさがらず、ちゃんと泥を落としてスプレーしてから歩き出そう。

ワイタケレのコース入口に設置された消毒ステーション

 

オークランド・カウンシルの調査では、実際のところハイカーの6割ほどしか消毒をしておらず、あとの人は消毒ステーションを素通りしてしまっているそうだ・・。ただ、これはきっとみんな知らないだけなんだと思う。靴底の米粒ほどのドロにも、カウリ・ダイバックの菌は残る。一分でもいいから時間を割いて、菌が移動しないように皆で協力していこう。100年後のハイカーに、樹齢1000年のカウリを残していけるように。

記事元のニュース:
Stuff.co.nz – Closing the Waitakere Ranges might be ‘just not possible’, but could it even work?
Maori TV – Kauri dieback disease could mean closure of Waitākere Ranges
Auckland city councilの調査報告書2017 – Kauri Dieback Report 2017

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園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

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