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オークランドのワンツリーヒル、頂上への車の乗り入れが禁止に!その2つの理由とは?

オークランドのワンツリーヒル、頂上への車の乗り入れが禁止に!その2つの理由とは?

オークランドの定番観光スポット「One Tree Hill ワンツリーヒル」。

ここはオークランド中心部からそう遠くない郊外にある、標高182mの丘を中心に緑が広がる見晴らしのいい公園だ。頂上からの絶景をはじめ、木々に囲われた緑道や芝生エリアも充実していて、イメージ通りの”海外の公園”と言った風情でとても気持ちがいい。

そんなオークランドの観光地・ワンツリーヒル。これまでは車で頂上までダイレクトに乗り入れることができたのだが、この2018年5月から、車の乗り入れが禁止になってしまった。
これまでずっと続いていたであろう頂上への車の乗り入れが、どうして禁止になってしまったのだろう??
今日は新聞各社に掲載されていた記事をもとに、その理由について解説してみたい。

ワンツリーヒルへの車の頂上乗り入れが禁止に!

冒頭の通り、2018年の5月中旬から、オークランド郊外の観光スポット「ワンツリーヒル」頂上への車の乗り入れが禁止となった。これは一時的なものではなく恒久的な改定なので、もう今後は車で頂上まで行くことはできなくなる。ただし徒歩やサイクリングならこれまで通り通行できるので、これからは丘の麓に車をとめて、10分ほど歩いて頂上を目指すことになるようだ。

実は僕もワンツリーヒルからそう遠くない地域に住んでいるのでこの公園はよく利用するのだけど、ニュースで乗り入れ禁止が放送された翌週に行ってみたところ、頂上へと続く細い道路の入口にゲートが導入され、『車は通行不可』が載った新しい看板が設置されていた。

one tree hillへの頂上への車の乗り入れ禁止を示す看板。筆者撮影2018年5月
one tree hillへの頂上への車の乗り入れ禁止を示す看板。筆者撮影2018年5月

one tree hillへの頂上への車の乗り入れ禁止を示すゲート。筆者撮影2018年5月。羊は通っていいよ。
one tree hillへの頂上への車の乗り入れ禁止を示すゲート。筆者撮影2018年5月。羊は通っていいよ。

でも、これまでずっとずっと車で頂上まで行って絶景を楽しむのが定番だったのに、どうして急に変更になってしまったのだろう?調べてみると、どうやらこれにはワンツリーヒルの歴史と深い関わりがあるようだ。

先住民族への配慮。かつてワンツリーヒルはマオリ族の一大拠点だった。

ワンツリーヒルへの頂上への車の乗り入れが禁止となった最大の理由は、この国の先住民・マオリ族への配慮にある。

牧草茂る広々とした現在の公園からは想像もつかないけれど、この地の歴史をひも解いてみると、ワンツリーヒルはヨーロッパ人がNZにやってくる遥か昔からマオリ族が定住し、コミュニティーを形成していた大切な場所だった。もとはと言えば古い死火山なので栄養分が豊富で作物がよく育ち、また見晴らしのいい丘は”砦”として最適な地形だった。最大で4千~5千人もの集落ができ、それだけに部族間の土地を巡る争いも多かったらしい。後にワンツリーヒルと名付けられた土地は、多くの部族が交錯した、マオリ族の歴史ある一大拠点だったのだ。

現代でも園内にはマオリ時代の遺構が残されており、また現代に生きるマオリ族も先祖がワンツリーヒルに関わっていたとする人も多い。それだけに、彼らの歴史と先祖への敬意を示す形で、長年マオリ族が主張してきた「せめて頂上への車の乗り入れは禁止にしてほしい」という願いが実現する運びとなったのだった。

頂上付近の狭い道路は、羊と歩行者専用に。

もう一つの理由として挙げられていたのは、よくもまぁ今まで重大事故が起こらなかったものだと感心するくらいの、「細くて狭くカーブの多い頂上ルートは車で行くにはあまりに危険!」とされたからだ。

カーブの多い、頂上への道のり。ワンツリーヒル
カーブの多い、頂上への道のり。ワンツリーヒル

 

これは一度でも車で登ったことがある方は納得してもらえると思うけど、確かに頂上付近はチョット危ない道だった。駐車スペースも狭く、僕の経験では駐車待ちで渋滞みたいになっていたことも何度もあった。車道だけど、歩行者も、サイクリストも、そして羊も(笑)道路を利用する。事故を防ぐ目的もかねて、頂上ルートは閉鎖とするようだ。車のない静かな山頂なら、きっと皆が心行くまで絶景を楽しめるようになるだろう。

先住民族の利権回復へ。オークランドのあの山も車の乗り入れ禁止。

ワンツリーヒル
ワンツリーヒル 2018

以前『ウルル(エアーズロック)が登山禁止に。NZの聖地「トンガリロ」はどうなる?』という記事でも、オーストラリアのウルルが2019年から登頂禁止となり、またNZのトンガリロ山も地図から山頂ルートが外されたり現地の看板は撤収となったりしているという内容を書いた。

AUSやNZだけでなく、先住民の権利や名誉回復は世界的な流れと言ってよく、ニュージーランドも率先して過去の侵略的行為の過ちを償おうとしている。オークランドに限って言えば、2016年には「マウント・イーデン」への車の乗り入れが禁止になり、2018年には「ワンツリーヒル」だけでなく、近隣の山々、例えば「マウント・ウェリントン」「マウント・ヴィクトリア」「マウント・ロスキル」なども同様の措置が取られるという。これらの山々は、すべて地域のマオリ族にとっては先祖が暮らした大切な土地なのだ。

今後はオークランド近郊の展望台のある丘へはすべて徒歩で登ることになるのだけど、そうなった背景もしっかり頭にいれて、敬意をもって頂上に上がるようにしたい。

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