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NZの飛べない鳥・カカポの、知っておきたい10のこと 上級編 

NZの飛べない鳥・カカポの、知っておきたい10のこと 上級編 

テレビ番組などで幾度となく取り上げられて人気がでてきたニュージーランドの飛べない鳥たち。その中でも特に不思議な生態をしているのが、飛べないオウムのカカポだ。

初級編ではカカポの不思議な生態のヒミツを10つに分けて挙げてみた。このページでは、<上級編>と題して、カカポのさらなる魅力に迫ってみよう。

テレビ番組「世界の果てまでイッテQ」や、NHKスペシャル「福山雅治の最後の楽園」など、さまざまな番組で取り上げ…




カカポのヒミツ11:シロッコという親善大使がいる

最も有名なカカポは「シロッコ」だろう。幼いころに病気をもったために人間の手で育てられ、そのため人間に懐いてしまったシロッコ。彼は親善大使として人前で”広報活動”(一般公開ともいう(笑)をする使命を請け負い、時折島からウェリントンなどに出張にやってくる。

シロッコと思われる(?!)、カカポの有名な動画はこちら!かわいいカカポをご覧あれ。

カカポのヒミツ12:シロッコはツイッターもFBも持っている

親善大使のシロッコはパソコンにも精通しており、ツイッターフェイスブックで日々何かを呟いている。たいてい「Skraaarrk! 」から始まるその文章は仲間の安否のことでいっぱいだ(笑)。写真や動画などが多くファンにはたまらない内容となっている。たまに”出張”の情報も入ってくるから、フォローしておくといい情報がいち早く入手できるかも!?

カカポのヒミツ13:レックという独自の繁殖方法

カカポは「レック」と呼ばれる世界で唯一の独自の繁殖方法をもっている。
これはオスが一堂に会し、それぞれボウルのような巣をこしらえて声を限りに鳴きからし、メスを争う。低いうなり声のような鳴き声は一晩中続き、風に乗って5キロ先まで聞こえる。声を頼りにメスは何キロも歩いてオスたちの”競技場”にやってきて、オスのディスプレイを見学した後、つがいとなる。カンタンそうなシステムだが、オスは繁殖期に体重の半分近くを減らすというから、彼らも命がけだ。

※繁殖期の鳴き声はNZ Bird Online:Kakakpoから聞ける。

カカポのヒミツ14:繁殖は木の実に左右される

カカポは食料の豊富な年だけ繁殖期を迎える。
大好物はリムという木の実で、リムの実が豊作の年はそれを好んで食べる。しかし、リムの豊作の年は数年に一度しかなく、つまりカカポの繁殖期も数年に一回のペースしかない。長寿ゆえに、繁殖率はかなり低いのだ。

カカポのヒミツ15:マオリ族の食料だった

先住民のマオリ族は飛べないカカポを格好の食料にしていた。飼い犬を連れて夜の森を歩けばカカポの芳香のおかげでカンタンに見つけることができたらしく、全国の貝塚で骨が発見されている。また、カカポの防御方法は「動かない!」の一択。大型の猛禽類の目から逃れるのに都合のいい防御方法も、人の前には意味をなさなかった。

カカポのヒミツ16:カカポのマントは高い身分の証

kakapo-cloak

カカポは食料としてだけでなく、良質な緑の羽はマオリ族のマントとしても利用された。マオリ族の間ではカカポの羽は高級品とされ、身分の高い者しかカカポのマントは着ることができなかった。ウェリントンのテパパ国立博物館に実物が展示されており、これにはなんと11,000万枚の羽が使われているそうだ。

カカポのヒミツ17:羽根の模様には意味がある

緑、黒、黄色と混じった羽根が美しいカカポ。
彼らの羽は空から見ると木々と地面の色合いの中に溶け込み、動かなければ完璧なカモフラージュになる。危険を感じると固まって動かなくなる習性は、この羽根の模様によって大型の捕食者から逃れるためだ。シロッコのツイッターにこんな写真が挙がっていた。接写でみると、こんなにも美しい。

カカポのヒミツ18:一般人でもカカポに会える?

基本的にすべてのカカポは保護区にて厳重に保護されており、一般の人は許可なく立ち入ることはできない。ただ例外として、親善大使のシロッコ氏の出張(一般公開とも言う笑。)が年に一回ペースであるので、彼のフェイスブックのアカウントをフォローしておけばひょっとしたら出会えるかもしれない。

カカポのヒミツ19:10人の精鋭によるカカポ・リカバリー・プログラム

カカポが最も絶滅の危機に瀕していたのは1995年に50羽まで減少した時だった。それより少し前の1989年からニュージーランド環境省はカカポ保護に本腰を入れ、「カカポ・リカバリー・プログラム」を開始。現在は環境省の精鋭10名を中心に保護活動が行われている。

Kakapo recovery programmeのホームページでは彼らに協力したい人向けに専用ページもあるので、覗いてみるといいかもしれない。運が良ければ、ボランティア募集の情報もあるかも!?

カカポのヒミツ20:2022年はヒナの当たり年!

Kakapo chicks

2021年ー22年の繁殖シーズンはリムの大豊作の年となり、一挙になんと55羽もの成体が巣立った。これはもちろん運だけではなく、ふ化率を上げる、ひなの健康を保つ、病気の個体を治療するなどの地道な保護活動が実を結んだ結果であることは言うまでもない。これからも順調に増えてくれることを祈るばかりだ。

さて、<上級編>として11~20の”カカポのヒミツ”をご紹介してきた。みなさんはいくつご存じだっただろか? シロッコをフォローするなどして、これからもグッドニュースが届くように期待しよう。

(ちなみに、この記事を作成するにあたって日本語のカカポ情報も目を通したが、日本語情報には誤った情報がかなりある。NZ環境省のリカバリープランのHPや、少なくとも英語版のwikipediaの方が最新情報を正確に反映しているので、そちらをチェックするようにしよう。)

カカポ以外のニュージーランドの珍しい鳥も随時紹介中!↓

これまでキーウィやカカポなど、ニュージーランドのいろいろな鳥をこのHPで紹介してきたけれど、実は南島にはもっと"スゴイやつ"がいる。そのスゴイやつとは、ニュージーランド・南島の山岳地帯のみ生息するとても珍しいオウム、「KEA(ケア、またはキア)」。世界でも唯一雪山に暮らすオウムとして知られているが、このケアが名を上げたのはその生態的特徴ではなく、どちらかというと、いや間違いなく、その悪行による悪名のほうだ。何も知らずに現地の雪山を旅行した人たちは、下山するなり一様に口を揃えてこう不満を漏...

Last Updated on 2022年9月20日 by 外山みのる

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