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野生のキーウィに会うのは一苦労!キーウィ探索に6日もかかった話

野生のキーウィに会うのは一苦労!キーウィ探索に6日もかかった話

「飛べない鳥」と言ったら真っ先に名前の挙がる鳥がニュージーランドにいる。国鳥にもなっている「キーウィ(KIWI)」だ。

彼らはニュージーランドの鳥にしては珍しく夜行性で、数が激減しているおかげでめったなことでは野生のキーウィを見ることはできない。だからこそ動物園には必ず「キーウィハウス」なるものがあって、暗闇になった小屋の中のなかで暮らす生きたキーウィをみるのがふつうの旅行者にとっては彼らをみる唯一の方法になっている。

でも、僕は野生のキーウィが見たいとずっと思っていた。柵の中で暮らすキーウィじゃなくて、森の中を力強く走りまわるキーウィが見たいと思っていた。でも、野生は数が減っている上に、夜の広い森を当てもなくさまようなんて、なかなか一般人にはできそうにない。何か方法はないかと調べてみると、沖合の島に滞在すれば野生のキーウィが見られるようだった。オークランドの沖合にある「Tiritiri matangi island=ティリティリ・マタンギ島」は野生のキーウィが暮らす島。市民団体が管理するその鳥の保護区にボランティアとして滞在すれば、ひょっとしたらキーウィがみられるかもしれない。僕はすぐに連絡をとって滞在の許可を得て、島に渡ったのだった。

ティリティリ島の風景

ティリティリ島の風景

ティリティリ島で一週間のボランティア生活

ティリティリ・マタンギ島はオークランドからフェリーで1時間少々で着く小さな島だ。たくさんの貴重な鳥がいるこの(ほぼ)無人島で、人工的な水場の管理やハイキング道の整備など、管理人の手の届かない日常業務(雑務ともいう)をしながら、島にある小屋に寝泊まりすることになった。

夕方、食事を終えて暗くなると、いよいよキーウィ探しが始まる。僕と同じようにキーウィ見たさに小屋に泊まっていた数人の旅行者は、それぞれ懐中電灯を持って外にでかけていく。聞けば、キーウィは島全体に100羽以上が暮らしており、「ここなら確実にみられる」というポイントもないため、結局運任せに歩き回るほかないのだそうだ。

自分の勘を信じてしばらく森の夜道を歩いていると、突然、遠くから

「キィーーー↑、キィーーー↑」

という独特の鳴き声が聞こえてきた。キーウィの名の由来ともなった甲高い鳴き声とはこれか。なんて分かりやすい。視界の効かない真夜中にキーウィを見つけるには、この鳴き声のするポイントに向かうほか方法がなさそうだ。しかし声のする方に歩いていくと、ぱったりと鳴き声が止んでしまった。「わ、誰かきた!」と思われてしまったんだろうか?

一日目は結局そんな具合に、鳴き声を聞いてはそこに向かうが誰もいない・・ということを2・3時間繰り返し、「やっぱり一筋縄じゃいかないか。」と小屋に戻っていった。小屋では「~~でキーウィが見れた!」という人もちらほら。こればかりは本当に運なのか。はたまた僕の探し方がまずいのだろうか。

ティリティリ島の日が暮れる

ティリティリ島の日が暮れる

2日目、3日目と日没をまって歩き回っても、キーウィの声はすれども懐中電灯の灯りの中にキーウィの姿を見つけることはできなかった。毎晩島に戻ってくるというブルーペンギンや、プケコという(飛べる)野鳥の寝床に近づきすぎて、お互い「ギャー!」となることは何度もあったけれど、肝心のキーウィにどうしても出会うことができない。4日目、5日目ともなるとだんだんと不安になってきた。この島のボランティアは一週間単位。6日間で見れなければ帰るほかない。そこで、5日目あたりから、ある変化を取り入れることにした。

キーウィ探しの一工夫

ティリティリ島の森

ティリティリ島の森

その変化とは懐中電灯をつけずに月の光を頼りに歩き、なおかつとにかくゆっくり歩いて、最小限の音と光だけで島のコースを歩くというもの。夜の森のというのは想像以上に怖くてやってなかったけれど、残り一日となっては四の五の言ってはいられない。野生のキーウィと同じ条件で歩けばなんとかなるかもしれない。

「キィーー、キィイー」という声がまた聞こえてきた。今度こそ!焦らず、あわてず、夜の小道を声の方へ歩いていく。ふと近くで何かが動いたような気がした。またプケコだろうか?じっとしていると、

「ザクッ・・・ザクッ・・・」と重い足取りで草をかき分ける小さな動物が月光に輪郭を現した。もう間違いない。野生のキーウィだ。一週間ものあいだ見たかった生き物がついに目の前にいる。動かずじっとしていると、不思議とキーウィは逃げず、むしろ足元までやってきて詮索をはじめた。臆病だけど、好奇心はいっぱいのようだ。

こちらからはほとんど姿は見えないけれど、息遣いや足音はすぐそこにあり、森の中で野生のキーウィと戯れていることにこの上ない喜びを感じていた。5分もたったころだったろうか、キーウィは「よう分からないけど、縄張りを荒らすやつじゃなさそうだぞ」とまたノソノソと森の中に戻っていった。こうして僕もついに小屋にもどって、「キーウィが見れたよ!」とほかの宿泊者に嬉しい報告ができたのだった。

あとで知ったところによると、ティリティリマタンギ島に生息するキーウィは「Little spotted kiwi」というとても貴重な種類で、本島ではもう見ることができないそうだ。ティリティリ島のような保護された島にのみ生息するキーウィ。柵のない、彼らの森で、彼らと同じ目線で出会う。これはどんなアクティビティよりも、印象に残る出来事だった。(この物語は、2006年のワーホリ時代にあったことをベースに書いています。)

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園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

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