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日焼け止めがサンゴ礁を破壊するって本当?環境に優しい製品の選び方とは

日焼け止めがサンゴ礁を破壊するって本当?環境に優しい製品の選び方とは

「ハワイ州が環境に有害な日焼け止めの販売を禁止する法律を発表」――以前そんなニュースが報じられ世界中を驚かした。ハワイ州は海水浴客の使う日焼け止めクリームが世界的に有名なサンゴ礁を破壊しているとの調査結果を踏まえ、有害物質を含む製品の販売や使用等を禁止する法案を可決。日焼け止めの利用を法律で禁止するというのは、もちろん世界で初めての画期的な試みだ。

とは言え、だれもが気軽に使う日焼け止め。いったいどこに問題があるんだろう?
この記事では、ハワイ州の法律の背景にある調査結果と、日焼け止めと環境破壊に関して僕らにできる対応を考えてみたい。




日焼け止めを塗って海で泳ぐことが環境破壊になっている!?驚きの調査結果

その日焼け止め、環境に悪いかも・・ photo by Flicker

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ニュージーランドの自然を扱う当HPでハワイ州の出来事を扱おうと思ったのは、これが個人的にずっと気になっているテーマだったからだ。もうかれこれ10年くらい、僕は海に入るときには日焼け止めは極力使わないようにしている。体に塗って海に入るとそれが海に染み出ていくイメージがどうしてもぬぐえず、環境に悪影響があるんじゃないかとずっと思っていたからだ。

ハワイ州の施行する「日焼け止め禁止法」が根拠とする調査結果では、やはり海水浴客からの日焼け止め流出と、サンゴ礁の白化現象との関連が指摘されている。日焼け止めの成分がすべて悪いわけではないが、特に問題とされているのが紫外線カット成分「オキシベンゾン Oxybenzone」と「オクチノキサート Octinoxate」だ。これらは環境ホルモンのような働きをしてサンゴ礁や海の生き物たちの生育を阻害し、サンゴの白化などさまざまな環境破壊を引き起こすという。

さらに問題となっているのは、ごくわずかな量でも悪影響を及ぼす、オキシベンゼンの毒性の強さだ。「競技用プール6個半の海水に1滴たらす」だけで海の生き物にダメージを与えるに十分な毒性を持っており、高濃度のオキシベンゼンがハワイ州の一部ビーチで実際に検出されている。もちろん海水温の上昇など様々な要因のあるサンゴの白化現象だが、海水浴客の多いビーチ周辺ほど白化が進んでいるとのデータもあり、日焼け止めの流出が主要要因となっているのは明からだ。

2015年発表の論文によれば世界に流出する日焼け止めの総量は年間で14,000トンにも達している。一人一人の日焼け止め使用はごくわずかでも、僕らの目の届かない海中で環境破壊が起こっているのはほぼ確実だと言っていい。

環境に優しい日焼け止めはあるの?僕らにできる対応とは

こんな快晴のビーチには、やはり日焼け止めは必要。 beach in auckalnd, NZ

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日焼け止めは環境に良くない・・では、僕らにできる対応はどんなことがあるんだろう?

日焼け止めを使わないのだとしたら、僕が海水浴でしているように、ビーチにいるときはビーチタオルを羽織ったりTシャツを着て日陰に座ったりすれば、よほどのことがない限り日焼けしすぎることはないと思う。ただやはり日焼け止めをまったく使わないというのもガンのリスクなど健康被害があるので難しい。一番良いのは、やはり環境に悪い成分を含まない日焼け止めを利用することだろう。

とはいえ、いちいちパッケージの裏に書かれた細かい成分表を見るのも骨が折れる(実際僕もそうで、文字が細かいのであまり好きじゃない苦笑。)。そんなとき、日焼け止めに限らず、環境に優しい製品を選ぶ際に一つキーワードとして知っておきたいのが、「biodegradable」 という言葉だ。バイオディグレイダブル、つまり「自然に分解される」製品のことで、流出しても微生物によって自然に無理なく還っていく成分で構成されたものをこう呼んでいる。多くの環境配慮型の製品にはこの文字がつくので、一つの目安になるはずだ。

環境に優しい日焼け止め3選

店頭で「オキシベンゼン」等を含まない日焼け止めが売っていればいいけれど、現在のところあまり流通はしていないと思う。そこで、アマゾンなどのネット販売を利用しよう。僕が調べて、しっかりbiodigradableを謳う(もしくは自然由来成分のみで構成された)製品は以下の通り。普通の日焼け止めよりもちょっと高いけれど、皆で買って支持することで市場も拡大し、やがてはbiodigradable製品がファーストチョイスになっていくはず。まずは自分が使ってみて、周りの人にも伝えてあげてほしい。

1:バジャー サンスクリーン モイスチャライザー SPF35 アウトドア

biddigradableを謳う日焼け止めで、”徹底した環境配慮”に力を入れている。お肌に優しい成分仕様、無香料。

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2:サンゴに優しい日焼け止め(4パック入)

日本で開発された、その名も「サンゴに優しい日焼け止め」。座間味島のサンゴ礁を守りたいとの想いからつくられたそうで、開発者の自然への憂いがそのまま形となった素晴らしい商品。もちろん、有害物質不使用、天然成分のみで構成されている。

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3:サーファーズダイアン ノンケミカル UVミルク ウォータープルーフ 日焼け止め 50ml SPF50+/PA++++

環境にやさし成分を使用したUVミルク。
白くなりくく、それでいてウォータープルーフも長時間持続。名前の通り海で遊ぶときにぴったりの製品だろう。

 

参考ニュース記事
・stuff NZ – Sunscreen is killing coral and reefs around the globe
・stuff NZ – Hawaii to ban sunscreens that harm coral reefs
・NZ Herald – Hawaii is about to ban popular sunscreen brands to protect its coral reefs

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Last Updated on 2022年9月26日 by 外山みのる

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