マックパックやカトマンドゥ、アイスブレーカーなど、数々の良質なアウトドアブランドを世に送り出し続けている国、ニュージーランド。国の代名詞ともいえる羊から採ったメリノウールはその品質の良さでほかの追従を許さず、快適で温かいメリノウール製品はアウトドアシーンでは必須のアイテムと言っていい。
そんなニュージーランドにおいて、「メリノウールを超える素材」として近年注目を浴びている素材がある。それは、NZでは害獣とされている「ポッサム(和名はフクロギツネ)・ファー」だ。メリノウールよりも軽く、暖かい。そしてそんな大注目の素材「ポッサム・ファー」の由来や特徴、そしてメリノウールとブレンドした究極のウェアもご紹介しよう。
ニュージーランド発の究極のアウトドアウェア素材「ポッサム・ファー」って?
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聞きなれない素材、「ポッサムファー」。
ポッサム(Possumu)とはオーストラリア原産の和名・フクロギツネのことで、ニュージーランド産はやや黒っぽい色をしている。特に近年に産業化された毛皮というわけではなく、NZではもともと一定の生産量があった素材だ。どうしてここ数年で注目を浴びるようになったのかというと、ちょっと話題は逸れるようだけどNZ政府が「2050年までにポッサムを含む害獣をNZから根絶します!」と宣言をしたこで、外来種のポッサム駆除のスポットが当たるようになったからだ。
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ポッサムはNZでは害獣として扱われるため、ポッサムファーを積極的に用いることでポッサムの数を減らそうという機運が高まっている。
実はこの厄介者のポッサム。これまであまり使われてなかったのが不思議なくらい、上質な毛皮を持つことが分かってきている。ウールやほかの素材と違う最大の特徴は、毛皮の一本一本の繊維に空洞があることだ。空洞があることで軽く、どの素材よりも熱を保つことができ、その暖かさはホッキョクグマとホッキョクギツネに次ぐとさえ(!)言われている。
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さらに90年代の初めに「ポッサムファーとメリノウールは混合可能で、相性は抜群」だという研究結果が出て、ポッサムファーを巡る動きに変化が起こった。それまではポッサムファーだけで編んだウェアやニット帽などがよく見られたが、これらは軽さが災いしてか”毛皮感”がすごくて人気がなかった。しかしNZが誇るメリノウールとポッサムファーを混合したことで、軽く、保温・透湿性にすぐれ、柔らかくしなやかという究極の素材が誕生したのだ。
現在ニュージーランドでは盛んにポッサムファーの研究&技術開発がなされ、アウトドアウェアやスポーツウェア、ハンティング用のウェアなどに利用されている。雪の高山や原始の森など、過酷な環境でこそポッサムファー&メリノウールの混合ウェアが支持されている証しだろう。
日本でもアマゾンで購入できる!NZ産ポッサムファー&メリノウールのアウトドアウェア
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さて、そんなポッサムファー&メリノウール混合のウェアは、日本では買えるのだろうか?
調べてみるといくつかニット帽がヒットした。まだまだNZから直輸入してる製品で新素材だからかそれなりの値段はするが、一つ話題作りに購入を検討してみてはどうだろう。これらはアウトドアシーンだけでなく、普段使いやプレゼントなんかにも使えるだろう。
ポッサムファー製品はその使い勝手の良さだけでなく、購入することでニュージーランドの自然を守ることにもつながっていく。NZの貴重な自然を、”買って応援”していこう。
NZ産メリノとポッサムを使ったニット帽。
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Last Updated on 2022年9月26日 by 外山みのる
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