NATUREニュージーランド

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テカポの有名絶景ハイキング「Mt.John Walkway」と山頂で出会ったNZ植物たち

テカポの有名絶景ハイキング「Mt.John Walkway」と山頂で出会ったNZ植物たち

ニュージーランド南島のテカポ(Tekapo)。ターコイズ・ブルーが美しい湖沿いのこの街のハイキングコースとしてまず名前があがるのが、町の外れにある山・マウント・ジョンの頂を目指すショートウォーク「Mt.John Walkway」だろう。山頂は言わずと知れた星空観察ツアーが行われる場所であり、絶景の山頂カフェ「Astro Cafe」はどのガイドブックにも必ず載っている一押しスポットだ。

この山頂を目指すコースは麓の登山口からだいたい1時間半くらいで往復できるが(テカポ街中からスタートなら2時間~ほど)、『NATUREニュージーランド』としては標高1,031mの山頂でみられる貴重な草花にも注目してみたい。コースとともに、僕が山頂で出会った植物を紹介していこう。




テカポの絶景ハイキング「マウント・ジョン・ウォークウェイ」

コース名:Mt.John Walkway(初級~中級クラス)
距離:
時間:往復1時間半ほど。ただし頂上で写真を撮ったりカフェでコーヒーを飲んだりすることを勘定に入れると、2時間~2時間半を見てもよさそう。

Mt.John Walkway、登り始めてすぐの林の中のハイキングコース

テカポの街中から温泉施設「テカポ・スプリング」を目指すように湖沿いを歩くと、テカポ・スプリングの施設のすぐそばに登山道が見えてくる。林の中のジグザグ道を登って標高をあげていくとやがて視界が開け(30-40分程度)、牧草やタソックが茂るコースとその先にゴツゴツした山頂らしき岩肌が見えてくる。山頂に近づくにつれて星空ツアー用のドーム型の建物やカフェも視界に入るので、ここまでこればもう迷うことなく頂上まで行けるはずだ。山頂付近にはカフェの周りをぐるっと一周歩けるようにループ状のコースが通っている(地図参照)。せっかくだから湖側の反対側の景色も拝んで帰路につこう。

なお、もう少し絶景ウォークの続きを楽しみたいという場合には、下のMAPに示す通り、山頂のアストロ・カフェからさらに先に歩いて、大きくループを描くように歩くコースもある。こちらは3時間くらい。タソックしげる牧草地帯を歩くので天候が悪かったり強風の日はやめた方が無難かもしれないが、天候がよければ夢のようなハイキングになるだろう。北端部分は少々道がわかりにくいので、ハイキングマップをあらかじめDLしておくと良い(ネットは現地でもかろうじて通じるが)。

テカポのマウント・ジョン山頂で出会った植物たち

さて登山コースはほかのブログ等でもたくさん紹介されているのでこれくらいにして、ここからはマウント・ジョン山頂のザレ場でみられるNZの高山植物たちを紹介したい。特にサウス・サミットと呼ばれる、カフェ駐車場から少し湖側に下った先にある岩場や、頂上ループの西側のコース沿いにたくさんNZ原産の植物をみることができた。

ポーキュパイン・シュラブ

ポーキュパイン ・シュラブ Porcupine shrub

 

ポーキュパイン・シュラブ(Porcupine Shrub)、学名はMelicytus alpinus。
ニュージーランド固有種で、主に南島の高山のザレ場等でみられる植物。地表に這うように生えており、固くとげとげしい枝が絡み合って風雪から自身を守るように成長していく様は見事の一言!
夏の花の後には小さなベリーをこしらえる。これは高山地帯に分布するトカゲ類に自身の枝葉の下を住居として提供する代わりに、実を食べて種子を広げてもらうという作戦らしい。これもお見事!

ニュージーランド・ゼラニウム

ニュージーランド・ゼラニウム

 

個人的にずっと見てみたいと思っていた、ニュージーランド固有種のゼラニウム。学名はGeranium traversii。ゼラニウムと言ったら園芸植物を思い浮かべるけれど、NZ原産となるとこんなに小さくなってしまう(葉は1~2cm)。砂丘や海岸沿いの崖、平地の岩場等にも分布するが、ほかの雑草が多い平地部では素人にはなかなか判別が難しいので、観察するのはNZ原産種しか生息できないような森林限界以降の岩場が良いと思う。

NZゼラニウムの花 by NZ plant conservation network

マット・デイジー

NZ mat daisy

 

マット・デイジー(mat daisy)はニュージーランドのみに分布するラオウリア属(Raoulia)の植物のことで、全部で25種類が確認されている。僕がマウント・ジョン山頂で出会ったのは、おそらくturf mat daisy = Raoulia subsericea(夏に咲くお花を見ないことには判別はとても難しい笑)。樹木が生えないような厳しいNZの高山帯の気候に適応して、地表をマット状に覆うように成長する。ちなみにデイジーと名前はついているが、キク科ではない。

マタゴウリ

Matagouri

 

マオリ語の「Matagouri」が英語でも通称として用いられる。学名はDiscaria toumatou。NZ固有種で主に南島のタソック草原や小石の多い河原などでみられる。特徴的なのはこの強烈な見た目!かなり固いトゲで覆われており、うっかり足なんかに引っ掛けるとかなり痛い!昔のマオリ族はこのトゲを彼らの伝統的な刺繍(Moko=モコと呼ぶ)に用いていたというから、納得だ。

matagouri

 

参考文献:
iNaturalist NZ – Porcupine shrub 、Geranium traversii 、
Wikipedia- Matagouri 
『ニュージーランドの植物』TUTOKO OUTDOOR GUIDES出版

Last Updated on 2022年10月9日 by 外山みのる

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