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コロマンデル半島で山小屋一泊登山!「ピナクルス山」トレッキング 前編

コロマンデル半島で山小屋一泊登山!「ピナクルス山」トレッキング 前編

コロマンデル半島と言えばビーチのリゾート地と言ったイメージがあるが、実はその真ん中には1000m弱の山々が連なり、たくさんのトレッキングコースが設置された登山者天国でもある。

中でも有名なのは、標高759mのピナクルズ山トレッキングだろう。頂上の近くには山小屋もあって一泊二日の山歩きが楽しめ、道中は川、滝、森と見どころも多い。

今日はオークランドからも行けるコロマンデルのベストコース、「ピナクルズ・トラック」登山をレポートしてみよう。

コロマンデルの「Pinnacles Track」

コロマンデル半島のピナクルズ・トラックへ
コロマンデル半島のピナクルズ・トラックへ

Pinnacles Track (Coromandel)

【レベル】中級
【タイム】日帰りなら往復7~7.5時間。頂上近くのハットに泊まるのもよい。
【距離】往復14.5㎞
【コース内標高差】600m (往路はひたすら登り!) 
【見どころ】山々と海を見渡せる絶景。

オークランドからは車で約2時間。コロマンデル半島の付け根にある街「Thames」から山の方に向かうと、Kauaeranga valley(カウアエランガ谷)という舌を噛みそうな名前の山域に入っていく。ここは未舗装路に沿って、大小さまざま――20分のショートウォークからテント泊登山まで――約20ものトレッキングコースが設置された、コロマンデルでも屈指の登山スポットだ。

中でも最も有名なのは、カウアエランガ谷の終点から歩き出す「ピナクルズ・トラック Pinnacles Track」。頂上の近くにはサービスド・ハットに指定された環境省のハットもあって(ハットの種類は最後のリンク参照)、片道3~3.5Hでハットに到着、荷物をデポして片道約40分の頂上アタックをかける。日帰り登山なら7~8時間、しかしせっかく質のいいハットがあるから一泊泊まってゆっくり山を楽しむのがおすすめだ。

ピナクルズ:釣り橋を渡り、雨の森へ

カウアエランガ谷には川沿いにいくつものキャンプ場が点在し、途中にはDOC(環境省)のビジターセンターもある。僕はここでマップ入手やスタッフからの説明を聞いて山に向かうことにした。

ピナクルズ登山口手前にあるDOCのビジターセンター
ピナクルズ登山口手前にあるDOCのビジターセンター

マップを手に入れるついでにスタッフに声をかけると、いろいろと興味深い話が聞けた。

この谷はずっーと昔から人々に利用されてきたらしい。
マオリ族が長く暮らし、そのあと初期入植者たちがカウリの大木を求めてやってきた。「カウアエランガ Kauaeranga」という舌を噛みそうな名前は「山積みになったあごの骨」という何とも物騒な意味のマオリ語で、大昔の部族間戦争の言い伝えに由来するという。

また、現在も登山者が登るコースは、カウリの巨木を切りにやってきたヨーロッパ人たちが整備した道で、昔は馬や牛も連れて大々的に切りまくっていたらしい。おかげでこの谷には巨木とよべる木は一本もないが、100年ほどたって本来の森が戻り、「コロマンデル・フォレスト・パーク」として保護区にもなっている。そんなルートが今やコロマンデルのトレッキング名所になっているというのは、ちょっと皮肉な話だ。

さて、登山コース。

いざ、ピナクルズへ。川沿いの最初の一時間はこんな道で歩きやすい。

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ピナクルズ・トラックは計3時間ほどの登りで山頂近くの「ピナクルズ・ハット」までいけるが、これがひたすら登りが続くコースで、慣れていないとチョットしんどい。川の渡渉が4~5本あるが、これにはすべて定員一名のつり橋が掛けられている。歩くたびにユッサユッサと揺れる橋はなかなかスリリングだ。

ピナクルズトラックの渡渉。定員一名の揺れるつり橋

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上の登山地図で見ると最初の1時間は川沿いにまっすぐ歩く形をとっており、ここまではかなり道も広くならされているが、[Moss Creek]との分岐からテッテイテキな山”登り”が始まる。とはいっても、一昔は牛や馬まで連れて”ブッシュマン”が使っていた道だから整備は行き届いている。石畳や石の階段が連続する箇所もあり、僕は「まるで日本の神社にお参りに行くみたいだ」とさえ思ったくらいだ。

まるで神社への参拝!?コースはよく整備されている

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あいにく小雨が降ったりやんだりで、標高を上げるとやがて雨になってしまった。
レインジャケット越しにパシパシと当たる雨音を聞きながら森を歩く。時折訪れる曇り空に、コケや木々の緑からしたたる水滴が音を奏で、まるで音楽を聴きながら歩いているようだった。晴れの登山もいいけど、やっぱり僕は雨の登山も好きだ。

雨で木々が濡れる。この時の濃密な空気がたまらなく好きだ。

峰に出たと思ったらやがて看板が見え、遠くにピナクルズ・ハットが見えてきた。
雨がちな天気だったから、僕らは初日はこのままハットに留まり、明日の朝にアタックをかけることにした。

次ページ、後編へ続く。

.前後篇でお伝えしているコロマンデル半島「ピナクルズ山」一泊二日のトレッキング。前篇では概要と登りの様子を取り上げてみた。この後編では、山小屋の様子と頂上アタック~下山までを書いてみよう。特に、ピナクルズ・ハット(山小屋)のスタッフとの会話は印象的だった。ハットのワーデン・レスター氏は日本通だった峰に出て、ようやく雲の切れ目にハットが見えてきた。森に囲まれた、雰囲気のよさそうなハットだ。 ピナクルズ・ハットが遠くに見えた! たどり着いたハットは、珍しいほど大きく立派なハットだった。たどり着いた僕...

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