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ビーチで”何者か”に刺されたダイバーが重傷!犯人はサメではなく、あの魚だった・・

ちょっとびっくりするようなニュースが、2017年の年末に流れてきた。
NZ北島の田舎のビーチで、浅瀬を歩いていたダイバーが”何者か”に足を刺され、救命ヘリコプターに助けを求めて一命を取り留めるというアクシデントがあったという。

不思議なことにこのニュース、最初こそ「サメの襲撃事件」として取り上げられていたものの、コトの真相が判明するにしたがって「珍しい〇〇の襲撃事件」としてテレビや新聞を賑わすようになっていった。さて、NZでも数年に一回という〇〇の襲撃・・いったいどんな生きものの仕業だったのだろうか?

海辺でダイバーが足を刺される!→救命ヘリで救助へ ― 2017末、ウェリントン病院

そのアクシデントは2017年の暮れ、12月の下旬ごろに起こった。
ニュージーランド人のリース・アトキンソン(31歳)が、家族とのダイビングを終えて自前のボートでビーチに戻ってきたときのこと。桟橋のないプライベート・ビーチなので浅瀬に船をとめ、歩いてビーチまで戻ろうとした彼の足に、突如として鋭い痛みと衝撃が走った。

何かが水面下にある右足の太ももに食らいつき、海に引きずり込もうとしている!とっさに足を振りほどき、同じく浅瀬を歩いていた息子や仲間に「陸にあがれ!」と叫んだ。急いで砂浜まで上がると、何かがふくらはぎを貫通したようでかなり出血している。子どもたちをパニックにならないように現場から遠ざけ、仲間たちは車にあったウェイトリフティング用のロープを使って止血をした。

しかし、現場のリバースデール・ビーチ(※ウェリントンから北東へ約100キロ)は何もない田舎で、最寄りの叔母の家まで車で20分もかかる場所にある。そこから救急車で運んだとして・・それじゃ、とてもじゃないが間に合わない。機転を利かせた仲間たちはすぐさま救助ヘリを要請、事件のあった30分後にはヘリが到着した。アトキンソンは何度も失神しながらも持ちこたえ、無事にウェリントン病院に搬送されて手術を受けることができた。

犯人は・・針を持ったこの魚!

さて、「足に鋭い痛み」「引っ張られるような感覚」・・アトキンソンの証言から、最初こそ「シャークアタックだろう」とされていたものの、何かが貫通しているような傷口を診るに「サメじゃなく、あの魚なんじゃないか?!」と思われるようになった。

ながーく引っ張ったけれど、つまりアトキンソン襲撃の犯人は、足を貫通するほどの針を持ったこの魚だったのだ。

sting ray
sting ray by Flicker

 .

そう、「エイ」!

ニュージーランドの海洋保護区や人の出入りが少ない海岸には割とよく生息する「Sting Ray」。体長は最大で2m、名前の通り細長いムチのような尾をもち、その先には毒針を備えている。基本的には人が近づけば逃げていくおとなしい性格で、針も専守防衛、よほどのことがない限り人間を襲うことはないとされる。ただし今回のようにボートから突然浅瀬に入ったりして、出会いがしらの接触があった際は、攻撃を仕掛けてくることもあるらしい。

アトキンソンが感じた「食らいつくような感じ」は針で攻撃された際の衝撃で、「引っ張られる感覚」というのは針を抜こうとエイ側が暴れたときのことを言ったのだろう。毒よりも出血が怖いので、救助ヘリを呼んだのは正解だったと言ってよいだろう。

旅行者もビーチではエイに気を付けるべき?

sting ray by Flicker

.

オークランドに住む僕自身も、このスティング・レイは何度も見たことがある。ただし、人の多いビーチではなく、フェリーで行った沖合の島の桟橋などが主で、人口の多いビーチでは滅多に見ることはない。また、先述のようにエイ自体がおとなしい性格のため、よほど急に近づかない限りはエイの方から勝手に逃げていくだろう。

夏の水温が暖かい時期にはエイも海岸沿いに姿を見せるとされるが、エイの襲撃はニュージーランドでさえ数年に一回のアクシデントで、死亡事故はNZではいまだに確認されていない

ということで旅行者としてはエイに特段気を使うことはなさそうだけど、もし海水浴のビーチで浅瀬に三角形の黒い影が見えたら、基本的には何もせず、そっとしておいてあげよう。気持ちのいいビーチを生き物とシェアする――それもニュージーランドの楽しみ方の一つなのではないだろうか。

スティングレイ襲撃の参考URL:
・NZ Herald – Mate tells of helping diver after deep stingray wound
・stuff.co.nz – Diver flown to hospital after stingray attack at Riversdale, in Wairarapa

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園芸/造園/コラム外山みのる
ニュージーランド在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。お仕事は園芸や造園、コラム執筆等。

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