Q ニュージーランドに危険な生き物はいますか?
A 大きな動物や毒ヘビがいないニュージーランドにも、いくつか気を付けるべき危ない生き物たちがいる。森や民家の庭先で遭遇する危険な生き物といえば、まず気を付けるべきは前回紹介した4種類のハチ。そして、レアではあるが3種類の毒グモがいる。さっそく、毒蜘蛛の写真や生息域、そして刺されたらどう対応するかを書いていこう。
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ニュージーランドの毒グモ3種類
ニュージーランドには約2500種類ものクモが生息していると言われるが、そのほとんどは無毒で人に危害を与えるものではない。ただ、わずか3種類ながら毒を持つ蜘蛛もいる。
ホワイトテイル(Whitetail spider)
オーストラリアから19世紀に意図せずNZに入ってきてしまったホワイトテイル。
岩の裂け目や軒先の隙間など、身を隠しやすいところに生息している外来種だ。
攻撃的ではない上に毒性は弱く、ハチに刺されたように少し腫れる程度でたいていは済む。
日本語情報のブログなどでは「皮膚がただれる」という情報が多いものの、NZ政府が運営するNZオンライン百科事典(The Encyclopedia of NZ)によると、オーストラリアの近年の調査ではホワイトテイルに噛まれた130人のうち75%が「ハチ以下の痛み」だと答え、一人も「皮膚がただれた」症状は出なかったという。
レッドバック・スパイダー Redback spider
一時期日本でも騒がれた、ご存じ(?)セアカゴケグモ。やはりこれもいつの間にかオーストラリアから紛れ込んできてしまったらしい。ニュージーランドでは、北島と、南島北部で散見されている。
乾燥して隠れやすいところに好んで住むので、庭先の放置した手袋や長靴の中、使っていない植木鉢などにも巣食う。決して攻撃的な毒グモではないものの、庭先などでうっかり触ってしまい噛まれるケースが多いようだ。
セアカゴケグモに噛まれると、人によっては動悸、痙攣、吐き気などを引き起こす恐れがある。噛まれたと思ったら、念のため病院にすぐに向かうようにしたい。
カティポ・スパイダー Katipo spider
ニュージーランドの在来種の蜘蛛で唯一毒を持っているのが、このカティポ・スパイダー。
見た目はレッドバック・スパイダーと瓜二つだが、それもそのはず、このカティポはレッドバックと同じ種類に属する。カティポとはマオリ語で”夜に刺す者(night stinger)”。カティポ自体が大変レアなので(絶滅危惧種)、遭遇することはめったにないと言っていい。
ビーチやその周辺の流木や岩の割れ目などに生息している。死亡例は過去100年記録がないが、ヌーディストビーチで寝ていたカナダ人男性が陰部を噛まれ、病院で動悸や血圧の上昇、胸の痛みなどを訴えて16日間入院した記録がある。この種の毒グモは毒が強いので、噛まれたらなるべく早く病院にいくようにしたい。
ニュージーランドで毒グモに噛まれたら?
毒グモに噛まれた時の対処法は、ニュージーランド保健省(Ministry of Helth)のHPに詳しい。(特に、レッドバックとカティポに噛まれた場合)
- クモの種類を特定する。できれば殺して病院に持っていく
- 消毒液、または暖かい石鹸溶液で患部を洗う
- 氷を包んだタオルなどで患部を冷やす
- 病院の緊急外来へ急ぐ
※ちなみに・・やってはいけないこと!
1.患部を強く押さえる、刺激する
2.刺された後にアルコールを飲む
毒グモに噛まれたあと、症状が出るまで3時間程度あるとされるので、噛まれたら冷静に対処したい。また、成人であれば動悸や吐き気などの重い症状まではならず、腫れる程度で終わることも多い。とにかく、噛まれた時は周囲も含めてパニックにならないことが大事だと思う。そのためにも、有毒の生きものの知識はなるべく頭の片隅に持っておくようにしたい。
参考文献・ウェブサイト
- The Ecyclopedia of New Zealand: Venomous spiders
- Science Learning : Poisonous animals in New Zealand
- Animal Corner : Katipo spider
- Ministry of Health : Spider bites
Last Updated on 2022年9月22日 by 外山みのる
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