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『十五少年漂流記』の舞台はニュージーランドだった!

『十五少年漂流記』の舞台はニュージーランドだった!

世界中の子どもたちの冒険心を満たして止まないベストセラー小説『十五少年漂流記』。
きっと多くの人が子どものころに読んだことがあるのではないだろうか?

僕は最近になって、椎名誠のある本を読んで初めてこの小説の舞台がニュージーランドであったことを知った。
「そうだったっけ・・?」と、子どもの頃に読んだきりで全然覚えていなかったので、さっそく近くの図書館で借りてきて読んでみたら・・。まさにその通り、舞台はニュージーランド!しかも漂流した島もNZの島がモチーフにされているらしい。さっそく、あらすじとともにニュージーランドとのつながりを追ってみよう。




十五少年漂流記

そもそも、この小説の発表はずいぶんと古く、1888年にフランス人作家「ジュール・べヌル」が書いたものだ。現代は『2年間の休暇』。日本語訳ができたときに、『十五少年漂流記』と名がついて、この名前が親しまれるようになった。

きっと皆さんもあらすじを忘れていると思うので、ちょっと書いてみると・・

1860年、ニュージーランド・オークランドの寄宿学校・チェアマン校に通う8才から14才の少年たちは、夏休みにニュージーランド沿岸を航海するため帆船スラウギ号に乗り込んだ。ところが、船員たちが乗船する前に、なぜかロープが外れ船が動き出して流されてしまう。
嵐に巻き込まれて漂流した船は、絶海の孤島へと流れ着く。少年たちは住民を求めて島を探検するが、そこは無人島だった。家も食料も、自分たちで探さなければならない。こうして15人の少年たちの生きぬくための無人島生活が始まった――。

そう、そもそも主人公たちの住んでいた場所はニュージーランドのオークランドで、そこから東へ東へと流されて無人島に漂着したという設定なのだ。作中に島の名前は出てこないが、”チェアマン島”と名付けられた島の地図はニュージーランドの”ある島”に瓜二つだ。べヌル自身も別の本で「舞台はニュージーランドの島だ」と公言している。

その島の名前は、チャタム島という。いったいどんな島なんだろう?

ニュージーランドのチャタム島とは?

South Coast Waitangi Chatham Island New Zealand
ニュージーランドの南島から東へ1000キロ離れた地点にぽっかりと浮かぶチャタム島。作中では無人島として描かれているが、古くからポリネシア系の先住民モリオリ人が暮らしていた。

なぜチャタム島がモチーフだと分かったのかと言うと、作品の地図とチャタム島を見比べてみると一目瞭然だ。2枚の地図を並べてみよう。下の図の左側が作品に出てくるのが”チェアマン島”の地図で、右が実在するチャタム島の地図だ。チャタム島の地図はちょっと分かりにくいけど、中央に湖があって、左右に湾があるなど、特徴はとてもよく似ている。

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作中に登場する”チェアマン島”の地図(左)と、実在のチャタム島(右)

真ん中に湖があって、少年たちが漂着した西側の湾もある。およそ物語に出てくる重要な場所はすべて”実在”しているのだ。

作中では最初に遭遇する動物が「飛べない鳥」であることも、何かニュージーランドを連想させてくれる。かつてNZには、ダチョウのような飛べない鳥「モア」がいた。作者はそのことも頭の片隅にあったのではないだろうか?

大人が読んでも面白い『十五少年漂流記』

ニュージーランドが舞台だとわかってから本を借りてきて、大人になってから初めて読んでみたが、これが結構面白い!100年以上前の本をこんなに違和感なく、面白く読めるということに驚きを隠せなかった。リアリティがあって、ムリなく進むストーリー、必死に仲間と難題を解決する子どもたちの勇気・・久しぶりに本を読んで清々しい気持ちになった。

作家の椎名誠がこのチャタム島を実際に訪ねて歩いた本もある。この機会に、ぜひ読んでみてほしい。大人になってから改めて読むと、きっと新しい感想があるはずだ。

電子書籍もあります。

Last Updated on 2022年9月20日 by 外山みのる

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