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48時間の儚い命。NZ最大の蛾「プリリ・モス」を探しに、夜の森へ・・

48時間の儚い命。NZ最大の蛾「プリリ・モス」を探しに、夜の森へ・・

夜の10時。僕はオークランド西に広がる原生林地帯、ワイタケレ・フォレストに向かっていた。
「アラタキ・ビジターセンター」という森の中の観光案内所に車を停めると、20mほど先にある駐車場の街灯の灯りを見つめた。この街灯に、僕が探している生き物がやってくるはずなのだ。すぐそばの木の上でモアポーク(NZアオバズク)が鳴いている。きっと彼らも、僕と同じ生き物を探しにやってきたのだろう。

小一時間ほど待っていると、ついに街灯の灯りにいくつかの影が飛び回るようになってきた。きた、来た!やっと見つけた!僕は座っていたベンチから勢いよく立ち上がった。きっとあれが、ニュージーランド最大と言われる蛾「プリリ・モス」に違いない。街灯に向かって歩いていると、僕と同じタイミングでモアポークが2羽飛び立ち、音もなくその影を2つ攫っていった。せっかく会えたのにこれ以上攫われても困る。街灯の下でボディガードをこなしつつ、僕はついにお目当ての「プリリモス」と遭遇を果たしたのだった。

ニュージーランド最大の蛾「プリリ・モス」

puriri moth by Flicker

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・・と、いつもと違う調子で書き出してみたけれど、これが僕の「プリリ・モス」との出会いだった。数年前にこの生き物の写真をみてからというもの、その美しい姿を一目見たいとずっと思っていた。2018年になって、ある情報筋から「オークランドのアラタキ・ビジターセンターの駐車場で見れるよ」と情報をいただき、その週の夜に時間をつくって車を走らせたのだった。

ニュージーランドの「プリリ・モス」。この国最大の蛾で、羽を広げた大きさは最大で15センチ。手のひら大の大きさもある、明るい緑を全身にまとった美しい生きものだ。彼らは5年ほどプリリという木の幹の中で幼虫時代をすごし、春から夏にかけて成虫となって夜空に舞い上がる。ただ、その美しさの代わりに、与えられた時間はわずか48時間。口もなく、花のミツを吸うこともない。ただただ夜空に異性を探し、交尾をして死に、そうしてまた、この種の新たな命のサイクルが始まる。なんて儚い生きものだろう。

美しく、大きい。でも、飛び方は覚束ない。不思議な生きもの、プリリ・モス

ワイタケレで出会ったプリリ・モス
ワイタケレで出会ったプリリ・モス(オス)

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僕が街灯の下に見つけたのは、羽を広げた長さ10センチほどの、蛍光色の緑をまとったきれいなプリリモスのオスだった。
プリリモスはメスの方が大きいのだが(最大15センチ)、なぜかオスばかりが街灯に引き寄せられ、メスはめったに姿を見せないらしい。それにしても、体が大きすぎるのか、飛び始めたばかりなのか、街灯のオスたちは飛ぶのが下手で、みな地面に落ちたり草むらでジタバタしている。・・これを知ってるから、モアポークがご馳走とばかりにやって来るんだろう。
「48時間をもっと有効に利用してくれ・・!」なんて願うのは、人間の勝手な感情なんだろうか。美しく、大きい。蛾なのに飛び方さえ覚束ない。ニュージーランドのプリリ・モスは、ほんとうに不思議な生きものだった。

プリリモスは北島のみに生息。オークランドのワイタケレでも見られる。

ワイタケレで出会ったプリリ・モス2
ワイタケレで出会ったプリリ・モス2

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プリリモスはNZ固有種で、北島のみに生息している。これは幼虫が餌とする木「Puriri」が北島にしか分布していないからだ。プリリの木があれば基本的にプリリ・モスもいるはずなので、夜になれば木の周辺で見つかるかもしれない。僕が見に行ったオークランドの「アラタキ・ビジターセンター」は街灯が夜通しついてるので観察にはもってこいだが、基本的には森の中の光ならば人家の玄関先などでも見つかるはずだ。

年間を通して成虫は見られるといわれるが、ピークシーズンは10~12月ごろで、もう一つの小ピークが3月にある。上述の通り、夜になると森にある街灯などに集まってくるが、たいていはオスが見られ、メスは見つけにくい。どうやってオスとメスが暗闇の中で互いを見つけるのかは、まだはっきりとは分かっていないようだ。

NZ固有の木Puriir
NZ固有の木Puriri

詳しくは以下のサイトなどを参考にしてほしい。
・TWRRAIN – Aenetus virescens (Puriri moth)
・Factsheet – Puriri Moth
・Wikipedia – Puriri Moth

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COMMENTS

  • Comments ( 1 )
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  1. Please tell me hou to Wind the vine(Right hand or left volume)
    In Japan,the Winding method of the Vines is Wound up Clockwise from the
    bottom.
    Why is it clockwise…?
    Is it dependent on the magnetic field the natural phenomenon Arctic and
    Antarctic…?
    In the Southern Hemisphere,is it a Coun terclockwise rotation…?

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