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50年間絶滅していた!?NZの飛べない鳥、タカへの再発見物語

飛べない鳥が多く生息することで知られるニュージーランド。その中でも奇跡のような復活を遂げた鳥がいる。クイナ科で飛べない鳥、TAKAHE(タカへ)だ。

takahe @ tiritiri matangi island
takahe @ tiritiri matangi island

実はこのタカへは、50年もの間、記録上は絶滅した鳥だった。しかし”絶滅”から約50年後、世界がまだ第二次世界大戦の傷跡を残していた1948年のある日、南島の奥地で再発見されて世界的なニュースとともに復活を遂げることになった。ニュージーランドの鳥好きの間では知らぬものはいない、タカへ再発見の物語をお届けしよう。

ハンターが見つけた奇妙なもの。 ー 1947年

ニュージーランドは北島と南島に分かれているおかげで、そこに住む多くの生き物も同じ種なのに分類学的に2種類に分かれている。このタカへもその例にもれず、「北島タカへ」と「南島タカへ」がいた。マオリ族の流入とともに北島タカへは早々に姿を消し、高山地帯の続く南島では南島タカへ(=現在見られるタカへ)がかろうじて生き残っていたものの、20世紀に入って目撃例がなくなり、以来絶滅したと思われていた。

それから50年がたった1947年。今では世界遺産となっているフィヨルドランド国立公園の奥地に鹿狩りに来たハンター、ジオフェリ・オーベルは、名前も付いていない小さな湖のほとりに奇妙な大きな鳥の足跡を見つけた。見たこともない大きな足跡だ、何の鳥だろうと彼は思った。早朝には、ニュージーランドの自然を知り尽くした彼にさえ分からない鳥の鳴き声も聞こえてきた。
「ここには何かがいる・・・。」
ハンティングから帰るとさっそく期待を胸に鳥類学者に足跡のスケッチを見せたが、「きっとシラサギだろう」と相手にもされなかった。・・そんなはずはない。これはきっと、いや間違いなく、50年前に絶滅した鳥ータカへーに違いない。その思いは、翌年再び彼を湖のほとりに向かわせた。

絶滅からの生還 ー 1948年

「正体不明の大きな鳥」を諦めきれないオーベルは、翌年1948年にチームを組んで再び小さな湖に向かった。一行は険しい山を越え、再び湖のほとりを見下ろす丘にたどり着く。すると突然オーベルは行進をやめた。オーベルは緊張した面持ちで仲間に手で合図を送る。「やはり”何か”がいる。」しばらくして再びサイン。「タカへだ!しかも2羽いる!」

その時のことを、チームの一員だった女性は後の取材に対してこう語っている。
「湖のほとりを見下ろすと、信じられないことにタカへがいたの。忍び寄って、無我夢中でネットをかけて捕まえたわ。危うく首をしめちゃうところだったけれど(笑)、あのときは逃がすまいと必死だった。誰もが興奮していたわ。」

その時撮られた写真は今だに残り、インターネット上にも出回っている。捕まえたタカへにリードをつけて、小さな湖のほとりで休息をとる探索チーム。1948年11月19日のことだった。

タカへ再発見 1948年
タカへ再発見 1948年 photo by RNZ

タカへの総数はいまだ300羽

発見当時の推定生息数は400羽ほど。しかしわずか数年で、100羽ほどしか確認できない事態に陥った。原因は、イタチに食べられていたことと、エサとなる草を鹿にとられ、食べものが足りなかったことだ。

早急な保護策がとられ、イタチやネズミのいない沖合の小さな島々に移して保護することになった。これが現代にまで続くニュージーランドの鳥の保護政策の先駆けだ。人工で孵化や飼育方法も確立されて、2016年現在ではついに300羽の大台に乗るまでに個体数が回復している。

タカへが見られる場所

見られる場所として有名なのは、南島ではテアナウのバードサンクチュアリ(旧ワイルドライフセンター)、ウェリントンのジーランディア、そしてオークランドのティリティリマタンギ島が有名だろう。再発見の手がかりとなった足跡や鳴き声にも注目して、ぜひタカへの雄姿を多くの人に見てほしいと思う。

参考:RNZーTAKAHE Back From The Brink

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園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

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