NATURE ニュージーランド

ちょっとだけNZの自然に詳しくなれるネイチャーマガジン

ニュージーランドの”森を創る鳥”、「ケレル」に会いに行ってきた

ニュージーランドの”森を創る鳥”、「ケレル」に会いに行ってきた

たくさんの生きものに出会えるニュージーランドでのトレッキングにおいて、僕が出会うと一番うれしいのは「ケレル」という鳥だ。

その鳥が日光の下で見せてくれるエメラルドグリーンの羽と、胸元の真っ白な羽の見事なコントラストはあまりにも美しい。そして、とある事情から、ケレルが見られること自体が、豊かな森の証にもなっている。

先日久しぶりにケレルを観察しに行ってきたので、その美しさ、そしてなぜ”森を創る鳥”と言われるのかを紹介してみよう。

ケレルに会いに、原生林の森へ。

ニュージーランドのトレッキングコース bush walk ハイキング コース
僕の住むオークランドで「野鳥に会いに行きたい!」と思ったときに真っ先に思い浮かぶのは、オークランドの西に広がるワイタケレ自然公園(Waitakere Regional Park)だ。ここは1万6千ヘクタールという広大な原生林が都会のすぐ横に広がり、車で40分も走ればもう森の真っただ中に入っていける。

週末をつかって、ワイタケレの北部にある、小川沿いのトレッキングコースを歩いてみた。コースのあちこちに大きなカウリの木が見られ、川沿いには木のようなシダ「シルバーファーン」やヤシの木が生い茂っている。マイナスイオンあふれるいい森だ。

歩き始めて30分くらいたったころだったろうか、静かな森に突然、
「ブァッブァッブァッ・・」
という大きな風切り音が聞こえてきた。バサッバサッ・・ではなく、もっと重たい体を飛ばすような羽根の音。そう、僕はこの音をずっと探していたのだ。こんな大きな風切り音はあの鳥しかいない。間違いなく、ケレルが近くにいる。息をひそめて見上げると、いた、いた!ケレルが枝を揺らして停まっている。

ニュージーランド固有の鳥、ケレルの美しさ。

Kereru Photo by Flicker

頭上に停まってたケレル、またの名をニュージーランド・ピジョン。ニュージーランドの森にだけ生息する大型のハトだ。

全長50センチほどで、僕らが町で見かけるドバドの2倍近い大きさがある。何よりその羽根の美しさは、地味な鳥が多いニュージーランドにおいて群を抜いている。陽の光に反射するエメラルドグリーンと真っ白の羽毛のコントラストが見事で、森に佇む姿は見るものをあっと言わせる存在感がある。

kereru photo by Flicker

僕はこのケレルが好きで、トレッキング中はこのケレルを探しながら歩いていると言っても過言ではない。何より、僕が好む理由は「美しさ」だけではない。冒頭に書いたように、存在そのものがニュージーランドの森に必要不可欠なのだ。

ニュージーランドの森を創る鳥、ケレル

モアとハーストイーグル Wikimedia Commons

ちょっと話は逸れるようだけど、ニュージーランドにはかつて「モア Moa」という飛べない鳥がいた。ちょうどダチョウのようなヤツで、首をもたげると最大3.6mにもなり、世界最長とされた鳥だ。そして、さらに驚くことに、その巨大なモアを食べる、これまた世界最大の猛禽類と言われる「ハースト・イーグル Haast Eagle」もいた。マオリ族が入ってくるころはまだいたらしいから、つい1000年~500年前まで太古のままの自然が広がっていたのだ。

しかし、それら太古の巨鳥たちもマオリ族に狩りつくされて絶滅してしまう。モアがいなくなって困ったのはニュージーランドの植物たちだ。もともとリスやネズミなど哺乳類のいないニュージーランドでは、鳥が唯一の種の運び手。植物たちは巨大なモアに実を運んでもらおうと大きな実をつけるよう進化したのに、その担ぎ手がいなくなってしまった。

タライレの実

太古の巨鳥の亡きあと、モア用の大きな実を丸呑みして運んでくれる鳥たちはほんの一握りしか残っていない。そう、それができたのがケレルだった。具体的には、ミロ、タワ、カラカ、タライレなどの大木になる木は、今では命運をケレルに託している。「ケレルが森を創る」というのは、フンに交じって種を撒きちらすことで森の木々が増え、必然的に多くの生きものが暮らせる豊かな森ができるということだ。

罰金1000万円。ケレルを守るニュージーランドの本気

現在ではケレルは完全に法律で保護されている。もしも、貴重な鳥を遊び感覚で撃ち殺してしまったらどうなるか。

Wildlife act 1953

NZの法律、Wildlife Act(1953)によれば、ケレルなどの保護された鳥を撃ち殺した場合、なんと罰金は最大10万ドル。ざっくり700万円~1000万円と超高額だ。さらには罰金刑に加えて最大1年間の刑務所暮らしも加わるとされている。

 

ニュージーランドの森を歩くことがあれば、ぜひ森の音に耳を傾けてみよう。鳥たちの鳴き声の中に、きっと大きな風切り音が聞こえてくる。それはケレルに違いない。彼らの創った森と、美しいたたずまいをぜひご自身で観察してみてほしい。

COMMENTS

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. ケレルを調べていたら、この記事に行き着きました!

    このサイト、NZの記事の中で1番大好きです。
    移住が叶うといいですね!

    この間、初NZではアラタキBC、ワイタケレ国立公園、行きたかったけど行けなかった。ティリ島も行きそびれた。次回は絶対!な行き先です。

    四角大輔さん、ご存知ですか?
    NZと釣りが大好き過ぎて移住された方です。
    このサイト、一押ししちゃいました。

    今はまだNZに行くタイミングが巡ってこないので、
    記事を読みながら、その時を楽しみにしています。

  2. コメントありがとうございます。

    お褒めの言葉ありがとうございます。そういっていただけると記事更新がんばれます笑
    四角さんはもちろん知っていますよ、本も読んでますし、日本に住んでいたときは講演みたいなのにも足を運んでいましたし:)
    ワイタケレ方面にいかれる際はよかったらお声掛けください。いろいろご案内できると思います

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

こんな記事も読まれてます

Return Top