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未亡人製造機!?おっかない異名をもつ植物『カハカハ』

ニュージーランドの植物を調べていると、一つの植物がいくつもの名前を持っていることに気づく。それはひとえに植物一つとっても、英語名、マオリ名、学名と3種類に分かれているからなのだけど、さらにもう一つ、「異名」とか「通称」とでもカテゴリーできそうな名前がついていることが多い。しかも、さすがはニュージーランド、ウェットが効いているというか、言い得て妙で奇妙な名前に思わず「クスッ」となることも。そんな「クスッ」となる植物を紹介していくのも面白いかなと思う。今日はそんな異名の中でも、とりわけ物騒な「未亡人製造機」を紹介してみよう。

NZの植物「カハカハ」。またの名を、未亡人製造機

何度読んでもすごい名前だ。未亡人製造機。そんな殺人マシーンみたいな名前がついた植物がある。しかも、森を歩いているとそこかしこによく見かける。「じゃぁニュージーランドの森って危ないんじゃ・・」そう思うかもしれないが、そこはご安心を。普通にハイキングを楽しむ分にはまったく危害を加えてくる心配はない。

その植物は、KAHAKAHA(カハカハ)という。学名はCollospermum hastatum。着生植物の一種で、地面に生えずに、ほかの木の枝の分かれ目なんかに乗っかるように育つ植物だ。その中でも特にカハカハはNest Epiphytesと呼ばれる鳥の巣のような大きなコロニーを樹上に作るタイプで、必然的にNZの(特に北島の)大木には、必ずこんもり茂ったカハカハのコロニーがくっついている。

NZの着生植物「カハカハ」
NZの着生植物「カハカハ」。これはまだ小さい。

カハカハは悲しい歴史の生き証人

見た目はごく普通の着生植物だが、これが夜になると襲い掛かってくる・・とかもちろんそんなのではない。未亡人製造機=widow makerの名の由来は、ニュージーランドという国の始まりの時代、1800年代~1900年代前半にかけて、ヨーロッパ人が入植してきたころまでさかのぼる。

ヨーロッパから新たな土地を夢見てやってきた初期の入植者たちの生活は、うっそうと茂る森を切り開くところから始まった。土地を切り開き、家を建てて牧草を育てる。大きな木は材木として切り出せばお金になる。囚人の流刑地として発展したお隣のオーストラリアと違い、ごく普通の家族が移住してきたニュージーランドでは、もちろん家族単位で渡ってきた者たちも大勢いたことだろう。

森に入れば、数百年、あるいは千年単位をかけて育った大木がそこら中にある。それを切ればいい金になるのだから、大木があればノコギリ片手に男たちが群がったはずだ。

「ギィ、ギィ、ギィ」とノコギリを入れていく。次第に大木はきしみ、揺れだす。男たちは、ニュージーランドの大木の上部には根っこに土を抱えた重さ数百キロにもなる着生植物が育っていることに気が付かない。汗を吹きながら手元のノコギリを引き、大木の揺れがいよいよ激しくなったその時・・・未亡人(帰らぬ夫をもつ妻)となる妻の家に悲報が舞いこむのだった・・。

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kahakaha photo by Jon Sullivan

・・・とまぁそんなことがきっと初期入植者の時代に何件も起きたのだろう。それでいつしか「未亡人製造機」と呼ばれるようになった。カウリなどの巨木の太い枝に乗っかるカハカハは実際すさまじい大きさになる。そんな塊のようなカハカハを見上げていると、僕はいつもニュージーランドの歴史に思いを馳せてしまうのだった。

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