ニュージーランドでは夏も盛りを過ぎる2~3月ごろになると、鳥の声にとって代わるほどの大合唱がいたる所で聞こえてくるようになる。
何の合唱かというと、そう、日本ではおなじみの、セミの大合唱!ニュージーランドにもセミがいるのだ。
先日オークランド沖合のティリティリ島に鳥を探しに行ったら、鳥の代わりに島を揺るがすほどのセミの大合唱に遭ってしまい、これを機会に声の主を詳しく調べてみることにした。
ニュージーランドのセミについて調べてみると、いろいろ面白いことが分かってきたので、いくつかご紹介してみよう。
NZのセミの種類はいったい何種類いると思う?
ニュージーランドのセミ、声以外はあまり目立たない存在だと思うけれど、いったい何種類いるのだろうか?
街中でもトレッキングでもほとんど同じヤツしか見ないから、僕はきっと2~3種類かなぁなんて思っていたけれど・・
なんと、ニュージーランドのセミは42種類もいるらしい!
ちなみに日本にも36種類いる。アブラゼミ、クマゼミ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ・・・とても36種類も挙げれそうにないけれど・・、南北に長い日本とニュージーランド、豊富な地理的環境がたくさんの種類を生んでいるのだろう。
NZでもっとも見かけるセミ、その名も・・
さて、ではたとえばオークランドの公園や、近郊のハイキングで聞くセミはなんていう名前なんだろう?
実は上に挙げた写真がそのセミだ。このセミが「最も分布するセミ」と言われているから、見かけることも多いだろう。
このセミの名前は、コーラス・シィケーダ(Chorus Cicada)。
Cicadaは英語で「セミ」、コーラスゼミとはよく言ったものだ。森の中で大合唱を聞くと、その英語名も納得できる。
以下の動画は僕が2月ごろにティリティリ島で撮影したもの。セミが黒くなっちゃってるが、背景の音を聞いてみてほしい。
youtubeで探すと、もう少し合唱をイメージしやすい動画があった。こちらもどうぞ。
コーラスゼミの生態で面白いのは、
- 日本のセミと同じくオスは鳴けるが、メスは鳴けない
- 幼虫の期間は日本のそれより多少短くて25-44week (約3年間)
- 大きさは4センチで、日本のニイニイゼミを気持ち大きくしたサイズ
などといった特徴がある。
コーラスゼミのマオリ名はなんとも詩的!
さて、英語ではChorus Cicadaというこのセミ。ニュージーランドではどの生き物や植物にも「英語名」に加えて「マオリ名」という別の名前がついていて、コーラスゼミにもマオリ名がある。それがなかなか詩的なのだ。
コーラスゼミのマオリ名は、Kihikihi Wawa。キヒキヒ・ワワ。不思議な語感だ。
kihikihiは「セミ」の意。wawaは、”to roar like the sound of heavy rain”。つまり「大雨のように響きわたるセミ」といった意味あいだ。なんとも詩的な表現ではないか!?
ニュージーランドにはセミの名前の街がある!
オークランドからトンガリロに向かっていた途中に、ドライブしていて僕は「あっ!」と声をあげてしまった。通りかかった小さな町の名前が、そのまま「kihikihi」だったからだ。入口のウェルカムの看板にも、セミの羽があしらってあった。きっと昔からセミの多い地域だったんだろう。
他にも面白いセミや生き物を見つけたら、順次紹介していきたい。
Last Updated on 2022年9月24日 by 外山みのる
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