ニュージーランドには「土ボタル」という生き物がいる。英語ではGlow Worm(グローワーム)と呼ばれる、洞窟の中で星空のように輝く摩訶不思議な生きものだ。
土ボタルの鑑賞で有名な北島のワイトモ・ケーブはニュージーランドを代表する観光名所にもなっており、テレビなどメディアで映像を見たことがある方や、旅行中に実物を見たことがある方も多いんじゃないだろうか。
.
でも、実はこの土ボタル。ニュージーランド全土に分布していて、水辺の土手などで結構普通に見られる生きものであることは、あまり知られていない。そう、わざわざ高い料金を払って洞窟に入らずとも、きれいな川辺の湿った土手など、条件がそろっている場所さえ知っていれば、少数の土ボタルなら無料で見られるのだ(!)。(もちろん、ワイトモ洞窟の土ボタルの数は圧倒的で神秘的なのだけど。)
この記事では、僕が実際に土ボタルを観たことがある、オークランド市内&近郊の「無料で行ける土ボタルスポット」を2つご紹介してみよう。もしNZ観光にきて、ワイトモケーブに行くほどの時間やお金がない!という方がいれば、チャレンジしてみよう。
オークランドのど真ん中で土ボタルが見れる!?だれもが知っているあの場所!
「オークランドの中心部でも土ボタルって見れるんですよ」
・・とNZ旅行中の方と話をすると、たいてい、「またまた、そんなワケないでしょ」、という返事が返ってくる。
これはつまり多くのNZ旅行者にとっては「土ボタルはお金を払ってみるもの」であり、誤った認識がガイドブック等によって広まってしまっているということなんだろう。
でも実際のところは、冒頭に書いた通り、土ボタルはNZ全土に生息する生き物だ。正確にはヒカリキノコバエという蚊のような羽虫の幼虫で、洞窟でなくとも川べりの土手など、エサを捉えるための糸をぶら下げれる場所なら割と普通にみることができる。
僕が知る限り、もっともアクセスの容易な土ボタルスポットは、オークランド博物館のある「オークランド・ドメイン」だ。
ドメインは広々とした芝生の公園として知られるが、敷地の北側にはけっこう本格的なブッシュウォークが楽しめる森が広がっている。
カフェのある小さな池の、道路を挟んで反対側から始まるハイキングコース「lover’s Walk」を歩いてみよう。(下の地図参照)
ここにはオークランドの中心部からほど近いロケーションながら、うっそうとした森と小川と土手という、土ボタルが暮らすにはうってつけの条件が奇跡的にそろっている。夜、ライトを消して小川沿いの道を歩いてみよう。川面に近い土手に、土ボタルの光がきっと見つかるだろう。数は決して多くないけれど、都会の真ん中に光る生き物のか弱い光は、ただそれだけで感動的だと思う。
土ボタルスポット2:オークランド植物園そばの、トタラパークの小川沿い!
ドメインだけじゃなく、オークランド市街地にはもう一か所、地元の人にとっては割と名の知れた”土ボタルスポット”がある。それは・・・「オークランド植物園」だ。
厳密には植物園に隣接する森林公園「トタラパーク」を流れる小川「puhinui stream」周辺。この川沿いのウォーキングトラックなら、おそらくオークランド近郊では最もたくさんの土ボタルを見ることができる。
.
僕が実際に足を運んだ時は、川の土手沿いやウォーキングトラックの土手に20~50個程度の光の塊がいくつも観れて、「こんな街中に、こんなたくさん生きてるんだ・・」と本当に感動した。大きな洞窟に星空のように光る土ボタルもそれはそれで神秘的で素晴らしいけれど、人々がすむそのすぐ隣で生き物を観察するというのも、やっぱりまた別の感動があると思う。
ちなみに、トタラパークの駐車場は夜の9時くらいにゲートが閉まってしまうので、歩いているうちにゲートが閉まって車が出せない!という事態にならないように気をつけよう。(そう。。。僕は閉じ込められてお金を払って開錠してもらったのだった汗)
土ボタルを見るのは自己責任で。対策をとって歩こう。
ちなみに、原生林の森ではなく、夜の街のひと気のない公園を歩くことになるので、酔っ払いや地元のちょい悪な子どもたちに注意して歩こう。ニュージーランドは治安の良い国だけど、軽犯罪はことのほか多い国でもある。
僕が何回目かに夜のドメインを歩いた時は、川沿いのウォーキングトラック上に何人か座りこんでいて散策を諦めたこともあるし、植物園隣のトタラパークの駐車場では陽気な地元の若者たちに絡まれた・・というか変なテンションで話しかけられたこともあった。
もちろん「夜はあぶないから歩かないでほしい」なんて言っているわけではなく、複数人で歩いたり、グループに複数男性を加えるなど対策をしっかり取ろうということだ。きちんと対策はとったうえで、都会の土ボタルを観にいってほしい。
Last Updated on 2022年9月25日 by 外山みのる
コメントはまだありません。