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ニュージーランドのヤシの木「ニカウ」。発見したマオリ族がガッカリした理由とは?

ニュージーランドのヤシの木「ニカウ」。発見したマオリ族がガッカリした理由とは?

北は北端のレインガ岬から、南はクライストチャーチまで。
ニュージーランドにはたった一種類だけ、ヤシの木が生えている。
名前をニカウ(Nikau)といい、ヤシの木と聞いてイメージするようなビーチ沿いではなく、主に森の中で見ることできる。森の中にヤシ。なんだか不思議な光景だ。

ニカウ ニュージーランド ヤシ

NZのヤシ「ニカウ」

さて、このニカウはほかのどの木よりも先住民族マオリ族に利用されてきた木として知られている。その関係性こそが名前でも由来でもあり、きっと理由を聞けば「なるほど、だからニカウか!」と納得するだろう。今日はそんなニカウの名前の由来、マオリ族との関係、そしてちょっとした特徴などを話してみよう。

NZのヤシの木「ニカウ」

ニカウ ニュージーランド ヤシ

ニカウの森(ワイタケレにて)

ニカウはトロピカルなイメージの強いヤシの木の中でも、特に寒い気候に適応した珍しいヤシで、「世界でもっとも南に生えるヤシ」とも言われている。最大で高さ15m、葉の長さ4mほどにもなる大きなヤシだ。

「ニカウ」という名前の由来は、マオリ族が1000年も前にこのニュージーランドに渡ってきた頃までさかのぼる。マオリ族は南太平洋諸国からやってきたと言われているが、母国で彼らの食料の中核をなしていたのはココナツだった。だから新たな土地を見つけた彼らが最初にしたことが「ヤシの木探し」だったことは想像に難くない。そして彼らはヤシの木を見つける。「やった、あったぞ!」「でも・・」このヤシは実がついていない。それじゃあと森の中に入って探してみても、どのヤシの木にも、大切なココナツがついていない・・

「実がない!!」

そんな悲痛な叫び(?)は、マオリ語で「Ni kau!!」もしくは「Niu Kau!!」という。ニー・カウ。それはそのまま呼び名となり、「ニカウ=実のないヤシの木」という名前は、のちにキャプテン・クック率いる船団の植物学者に「ニカウ」と命名されて今日に至ることになったのだった。

使いどころ満載のニカウ

ニカウ ニュージーランド ヤシ

大きさが分かるように一緒に撮った。これでもニカウにしては若木だ。

マオリ族はこのニカウを大切に利用していたらしい。
大きな葉はかつて南太平洋でもそうしていたように、屋根材として雨をしのぐのに使い、中心部の新芽の部分は食料に、実は食べたりネックレスに、葉のつけ根の固い部分はケガしたときのギブス代わりに・・と、実に多様に利用していた。

ヨーロピアンも食材として主に利用したようだ。中心部の柔らかい部分はRITOと呼ばれ、なんでも甘くてジューシーらしいのだが、それを採ってしまうと肝心の木が死んでしまうらしい(たぶん、植物の生長点を食べてたということだろう)。それで「ミリオネアのサラダ」なんて洒落た別名までつくようになった。

花が咲くのに30年!超ゆっくり成長するニカウ

森の中でみかけるこんな背の高いニカウはいったい何歳なんだろう?

ニカウ ニュージーランド ヤシ

成木のニカウ。環境がいいとここまで高く育つ

実はニカウはものすごーーーくゆっくり成長するヤシとして知られていて、なんと最初の花が咲くまで30年近くかかると言われている。さらに、実がなっても真っ赤に熟すまで丸一年かかり、一年につき約一枚しか新しい葉っぱがでてこず、幹の部分ができるまで50~60年かかる(!!)・・
寒い気候に合わせたのか、とんでもなくのんびりゆっくり育つのだ。

きっと森の中で出会う背の高いニカウは、樹齢で言えば100歳~200歳くらいに達しているのだろう。幹ができるのに50年、そこから1年に葉っぱ1~2枚と考えて”節目”を数えると、だいたいそれくらいの数字になる。森の中でみたら、ぜひそのニカウが何歳か、数えてみてほしい。きっと驚くはずだ。

  • 参考HP
    The Meaning of Trees – Nikau
    TERRAIN : Nikau
ニカウ ニュージーランド ヤシ

ニカウの”節”。年に1~2枚の葉の更新があるとすれば、ある程度”年輪”として見ていい。

ニカウ ニュージーランド ヤシ

ニカウの花。撮影は11月だった。

 

 

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園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

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