12月にはいるとすっかり夏の気配を感じるニュージーランド。赤い花をつけるクリスマス・ツリーと呼ばれるポフツカワが海岸沿いに燃えるように咲き、街路の木々も一斉に色づいてきて、ビーチや公園はずいぶんと華やかな雰囲気になってきた。
さて、そんな色とりどりの公園の芝生に、真っ黒で逆にひときわ目立つ鳥がエサをついばんでいるのをみたことはないだろうか?ニュージーランドの公園でよく見かける黒い鳥の名前はなんだろう?身近すぎてあまり注目を浴びない鳥だけど、今日はそんな身近な隣人を紹介してみよう。
ブラックバード
上の写真の黒い鳥は、名前もそのままにBlack Birdという。安直すぎるネーミングもさることながら、ブラックバードは”ニュージーランドでもっとも分布する鳥”でもあり、身近すぎるからなのか、なんとなく話題に上らないというか、注目されにくい鳥だ。
本当にどこでも見かける鳥で、公園の芝生はもちろん、森の中の「こんなとこまで?」と思うくらい深い山の中でも出会ったりする。これだけ見かけるんだからさぞかし古くからいる鳥なんだろうと思いきや、実はこのブラックバードはヨーロッパからの移入種だ。
記録では1860年代から持ち込まれたというから、かなり移住の初期段階から計画的に持ち込まれたようだ。「なんでわざわざヨーロッパからこんな地味な鳥を持ってきたんだろう?」という疑問が涌くが、この理由がなんとも微笑ましい。
ヨーロッパ人が移住の際にブラックバードを連れてきた理由、それは、
「鳴き声が故郷を懐かしく思い出させてくれるから。」
だそうだ。ブラックバードの声は初期入植者にとって故郷イギリスの風景になくてはならないBGMとなっていて、それでニュージーランドにも故郷を再現しようとしていたらしい。何とも微笑ましい話だなとも思うが、きっとそれだけ当時の人にとっては移住とは大変なものだったんだろう。
案外いい鳴き声のブラックバード
さて、わざわざ初期入植者たちがノスタルジーを感じるために聞きたいと願った鳴き声を聞いてみよう。これが、案外いい声で鳴くのだ。
地味な見た目からは想像もできないような、メロディアスで透き通るような鳴き声。
僕もブラックバードの声に聞き入ってしまった経験が何度もある。夕暮れ時、木陰でこの声を聞いていると、哀愁漂う透明なメロディになにかセンチメンタルな気分になってしまう。むかしの人がこの声に故郷を重ねたのが、僕は少しわかる気がする。
メスや子どもは薄い茶色。
ブラックバードはだいたいペアか、そうでなければシングルで活動している。真っ黒い方はオスで、メスや子どもは薄い茶色だ。色は全然違うが、同じ種類なので混同しないように気を付けよう。
- 参考:
NZ Bird Online:Black Bird
Te Encyclopedia of NZ : Introduced birds
Last Updated on 2022年9月19日 by 外山みのる
コメントはこちら