飛べない鳥と言ったら真っ先に思い浮かぶ鳥がニュージーランドにいる。
国鳥にもなっている、飛べない鳥のキーウィだ。
ニュージーランド人は自らのことをNZ出身と言う意味で「私はキーウィだよ」と言ったりするし、キーウィフルーツも元をただせばこの鳥からつけられた名前だ。企業や広告などのいろんなデザインに使われたりもしていて、キーウィはニュージーランドの象徴としてすっかり定着している。
そんなキーウィは実は一種類だけでなく、南北に長い国土に適応して、5種類にも分かれて暮らしている。大きさや色、鳴き声がちょっとずつ違うので、それぞれ紹介してみよう。
ブラウン・キーウィ:もっとも分布するキーウィ
ニュージーランドの北島で見られるのはこのブラウン・キーウィ。生息数25,000羽で、名前の通り、濃い茶色の羽をもっている。お土産屋のキーウィのモチーフはこのブラウンキーウィだろう。
2万5千羽と聞くとまだまだ数が多いように思えるが、人間が来る前までミリオンの単位でいたことを考えれば、まだまだ絶滅に近い生き物といえる。
リトル・スポテッド・キーウィ:離島に生きるキーウィ
Little Spotted Kiwi (和名:コマダラキーウィ)
5種類のキーウィの中で最も小さいのが、このリトル・スポテッド・キーウィ。体重は1~2キロ程度しかなく、鶏の平均2キロと比べてもやや小ぶりか、半分程度の大きさしかない。名前の通り、ブラウン・キーウィに比べて色がうすく、マダラ模様が入っている。
小さいことが災いして、イタチやネズミに卵やヒナを襲われ、生息数は1,800羽ほど。本島ではすでに野生絶滅し、人間が害獣を駆除した沖合の島にのみ生息している。
ちなみに、僕が以前書いた「野生のキーウィに会うのに6日もかかった話」に出てくるキーウィはこのリトル・スポテッド・キーウィだ。
グレート・スポテッド・キーウィ:最大のキーウィ
Great Spotted Kiwi (オオマダラ・キーウィ)
NZ南島の北部・ネルソンやアーサーズパス周辺に生息するグレート・スポテッド・キーウィ。名前の通り大型で、メスの体重は3キロを超えるとされ、キーウィの中でも最大級だ。生息数は15,000羽ほど。
僕がオークランドのティリティリ島で出会ったキーウィの大きさは、おそらく2キロ程度だったと思う。それでも、足元まで接近されたときは「結構大きいんだな!」と感じた。それより1.5倍はあるグレート・スポテッド・キーウィ。いつか野生で会ってみたいキーウィだ。
ローウィ:もっともレアなキーウィ
Rowi, Okarito Rowi, Okarito Brown kiwi
2003年に新しく認定された種で、Okaritoという、南島の南西部の森にのみ生息する最もレアなキーウィ。
もともとはブラウンキーウィの亜種とされていた。最高峰マウントクックをはじめとする3000m級の山々と、タスマン海に長い間隔絶されていたおかげで、見た目は同じでもDNAレベルでは別種と認定されたようだ。生息数500羽ほど。
トコエカ:スチュアート島のキーウィ
Tokoeka, Southern Brown Kiwi
ニュージーランド南端に位置するスチュアート島は野生のキーウィがみれる場所として知られているが、見られるのはこのトコエカという種だ。
トコエカは、細かく亜種があってHaast, Fiordland, Stuart islandの三亜種に分類されている。生息数はトータルで2万羽ほど。
スチュアート島は確かに最もキーウィの生息密度が高く、夜行性にも関わらず食べ物を求めて昼間も活動するので、短期の旅行者が一番キーウィに遭遇しやすい場所と言われている。ダニーデンやクイーンズタウンあたりまで旅行にいくのなら、スチュアート島まで足を伸ばして数泊すれば、きっと面白い体験になるだろう。
- 参考:
生息域の分図:The Encyclopedia of New Zealand : Kiwi distribution map
Kiwis for Kiwi : kiwi species
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キーウィは夜行性の鳥だけど、どうして夜に活動する必要があったんだろう?そこには、かつていた世界最大の猛禽類の影があったのだった・・
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★追記2:キーウィ記事の続編。鳴き声って聞いたことある??キーウィの鳴き声がすぐに聞けるウェブサイト3選!
Last Updated on 2022年9月19日 by 外山みのる
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