NATURE ニュージーランド

ちょっとだけNZの自然に詳しくなれるネイチャーマガジン

ニュージーランドの離島にだけ生きる、幻の「忘れな草」が咲いた!

ニュージーランドの離島にだけ生きる、幻の「忘れな草」が咲いた!

今日はニュージーランドにしか咲かない、常識破りな「忘れな草」についてのお話。

忘れな草って名前はよく聞くのに、実際見たことないな、どんなお花なんだろう?そう思う方も多いはず。僕も以前そうだった。でも一回判別できるようになると、この花は不思議なことにずっと判別がきく。かわいらしくて、可憐で、物憂げな小さな青い花は他の花とは何かが違うような気がする。

園芸分野でも普通に植えられるから、どこかの花壇でみたことがあるんじゃないだろうか。普通の忘れな草って、写真でみるとこんな感じだ。

一般的な忘れな草
一般的な忘れな草

これが、南半球の果て、ニュージーランドの、さらに遠く離れた離島に長いあいだ隔絶されてしまうと、とんでもなくユニークな方向に進化を遂げてしまうのだ。

忘れな草の英語名は?

その前に、まずは一般的な「忘れな草」の豆知識から。忘れな草の英語名は、「Forget Me Not」と呼ぶ。変わった名前だけど、ニュージーランドの園芸店でも売られていて、普通に「Forget Me Notください!」という風に会話ができる。

こんな変わった名前は、その由来の伝説にあるようだ。ウィキペディアを引いてみると、こんな風に書いてある。

中世ドイツの悲恋伝説に登場する主人公の言葉に因む。

昔、騎士ルドルフは、ドナウ川の岸辺に咲くこの花を、恋人ベルタのために摘もうと岸を降りたが、誤って川の流れに飲まれてしまう。ルドルフは最後の力を尽くして花を岸に投げ、„Vergiss-mein-nicht!“(僕を忘れないで)という言葉を残して死んだ。残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にした。

このような伝説から、この花の名前は当地ドイツで Vergissmeinnicht と呼ばれ、英名もその直訳の forget-me-not である。花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、この伝説に由来する。

そんな悲しい伝説がそのまま今に伝えられて「Forget Me Not」として定着し、日本にも伝わり「勿忘草」という意味深げな名前が付いたというわけ。いろんな園芸植物の中でも、名前も由来もその姿も特徴がある忘れな草は、僕を含めて本当にファンが多いお花のひとつだろう。

ニュージーランドの固有種「チャタム島忘れな草」

さて話を戻して、ではこんな可憐なお花がニュージーランドに定着するとどうなるのか。NZのさらに離島の、沿岸沿いにだけ花を咲かせるその名も「チャタム島忘れな草(Chatham Island Forget Me Not)」というのがそれだ。

ニュージーランド本島から680キロも東に離れた小さな離島、チャタム島。ここにしかいない鳥や植物が多いことでNZ人にも知られているこの島で見つかった忘れな草は、過酷な海沿いの崖でも生きていけるよう葉は塩害対策で光沢を帯び、栄養の少ない岩と岩の間でも育つように、忘れな草としては”巨大”ともいえる大きな葉を手に入れている。花だけは一般的な色カタチだけど、全体的なフォルムはもうほとんど忘れな草の規格から完全に外れて巨大化した、いわば忘れな草界のゴジラだ。

いよいよ写真でみてみよう。チャタム島忘れな草は、こんな姿をしている。

チャタム島忘れな草 chatham island forget me not
チャタム島忘れな草 chatham island forget me not (Myosotidium Hortensia)

こうしてみるとまるで野菜みたいだ。植物の世界では、光沢のある葉っぱは潮風から葉を守る役割があって、海沿いの植物はこういう光沢のある葉をもつモノも多い。

チャタム島忘れな草 chatham island forget me not
チャタム島忘れな草 chatham island forget me not お花アップ

 

こうして花だけみると、やっぱり忘れな草。可憐で癒されるいいお花だ。

お庭で咲かせよう、チャタム島忘れな草!

この花のイメージと現実とのギャップがいいのか、チャタム島忘れな草は園芸品種としてとても人気があって、実はニュージーランドではどこの園芸店でも春になれば苗が売られている。

僕は初めて園芸店で見かけたときは大興奮!チャタム島までいかないと見れないと思っていた幻の花がたった10ドルかそこらで売られているなんて考えもしなかった。6月、春の足音が聞こえるころに一鉢購入し、10月に見事に花が咲いた。

p_20161025_192855_hdr

本来離島の過酷な環境でも咲く植物とあって、水はけのよい半日蔭で育てると割とカンタンに育つ。花が終わっても見事な葉っぱで観葉植物として楽しめるチャタム島忘れな草。種も売られているようだから、旅行のお土産にもいいかもしれない。

ABOUT THE AUTHOR

園芸/造園/個人ガイド/コラム外山みのる
ニュージーランド(オークランド)在住。20歳でNZワーホリ後、海外自転車旅や山小屋バイト等を経て再びNZへ。移住を目指して家族で奮闘中。お仕事は園芸や造園、個人ガイド、コラム執筆。

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

こんな記事も読まれてます

Return Top