NATUREニュージーランド

ちょっとだけNZの自然に詳しくなれるネイチャーマガジン

オークランドで飼い犬の中毒死が多発。毒性があるカラカの実とは?

オークランドで飼い犬の中毒死が多発。毒性があるカラカの実とは?

毎年夏も盛りをすぎたころになると、犬の散歩中に「カラカ」という木の実を誤って食べた飼い犬が中毒死してしまうというニュースがよく取り上げられる。

安全なはずの街中で、どうしてそんなことが起こってしまうのだろうか。このページでは、「カラカ」という木についての詳細と、飼い犬がいる方はどう対策を取るべきかを書いてみたい。




オークランドで飼い犬が中毒死・・カラカとはいったいどんな木?

ニュージーランドの、とあるニュース記事 – オークランドでカラカを食べたワンちゃんが立て続けに亡くなる

 

上の写真のようなニュースにでてくる「カラカ」という木。カラカはニュージーランドの北島と、南島北部に分布する常緑樹で、ツヤのある大きな葉と、夏~秋にたわわにつけるオレンジ色の実に特徴がある。(ちなみに、カラカとはマオリ語で、オレンジの意)

カラカの実 by Flicker
カラカ。葉には光沢があり、実はウズラの卵大の大きさ。この実はまだ若い。by Flicker

 

ちょっと驚きなのは、実はこのカラカという木は、オークランドなら街路樹としても植わっていて、ちょっとした公園なら必ず見かけるようなとてもポピュラーな木だということ。夏から秋にかけてオレンジの実がたわわに実り、僕は熟した実が地面に落ちている風景も何度も見かけたことがある。

カラカの実には毒がある

カラカの実。カラフルでとてもよく目立つ。

 

NZの森や街路に生えるありふれた木と言っていいカラカが、なぜ野鳥ではなく、犬の中毒を引き起こす原因になってしまうのだろうか?

それは、カラカの実はフルーツ部分に毒性があるわけではなく、厳密にはタネの殻に毒性がある、という点で説明がつく。

当然ながらNZ固有の鳥たちはこのカラカの実を食べているし、特にケレルと呼ばれるニュージーランド鳩の好物としても知られている。鳥たちはカラカの実の食べられる果肉の部分だけをたべ、タネは消化せずそのまま排出しているのだろう。

2月に入ってカラカの実も熟しはじめ、オレンジ色で目立つ実を誤って丸のみしてしまった犬たちが、タネまで消化してしまったために事故につながった―――これがカラカをめぐるコトの真相だったのだ。

カラカ誤飲の事故は防げるか?

カラカの木 by Flicker

カラカの誤飲を防ぐには、当然ながら予防をするに尽きる。
カラカは大きなツヤのある葉もオレンジの実もよく目立つため、一度識別すれば遠目でも判別できるようになる。(今すぐグーグルで画像検索して覚えてしまおう。)散歩コースのカラカの木を覚えてしまい、飼い犬が誤って食べないように遠ざけるのが第一だ。

でも、もし飲み込んでしまった場合はどうすればいいだろう?
あるニュースサイトで獣医はこう話している。

「カラカの実を食べたとわかれば、すぐにでも獣医に見せることが第一。カラカの中毒症状としては、まず吐き気や下痢の症状がみられ、続いてパニックや手足の硬直などの神経中毒を経て、やがて意識を失う。これらの症状が出たらカラカ中毒を疑ってみてほしい。」

最後に・・

カラカはNZ固有の植物の中では珍しく街路樹としても育つほど強く、亜熱帯譲りの光沢のある葉は園芸品種としてもとても人気が高い。もちろん毒があるのは困った点だけれど、それもおそらく生き抜くための知恵なのだろう。僕は、この記事を読んだ読者の方々が「カラカは毒があってキケン」という側面だけを切り取ってほしくない、とも思う。そういう面もある。うまく付き合っていけたらいいと思う。

Last Updated on 2022年9月23日 by 外山みのる

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

コメントはこちら

*

Return Top