NATUREニュージーランド

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いたずら大好き!ニュージーランドの山岳オウム「KEA」のハチャメチャ映像集

いたずら大好き!ニュージーランドの山岳オウム「KEA」のハチャメチャ映像集

これまでキーウィやカカポなど、ニュージーランドのいろいろな鳥をこのHPで紹介してきたけれど、実は南島にはもっと”スゴイやつ”がいる。

そのスゴイやつとは、ニュージーランド・南島の山岳地帯のみ生息するとても珍しいオウム、「KEA(ケア、またはキア)」。世界でも唯一雪山に暮らすオウムとして知られているが、このケアが名を上げたのはその生態的特徴ではなく、どちらかというと、いや間違いなく、その悪行による悪名のほうだ。

何も知らずに現地の雪山を旅行した人たちは、下山するなり一様に口を揃えてこう不満を漏らすという。

「ケアにいたずらされてヒドい目にあった!!」

ケアとはいったいどんな鳥なんだろう?
悪行の数々を捕えた動画も紹介しつつ、この山賊オウム、じゃなかった、山岳オウムの素顔に迫ってみたい。




ニュージーランド固有の鳥・KEA(ケア)とは?

Kea

ニュージーランドの固有種にして絶滅危惧種でもある山岳オウム・ケア。和名はミヤマオウム。
全長約50センチとワシ大の大きさがあり、オリーブグリーンの羽と、広げた翼の下に見える鮮やかなオレンジが美しい。一時期不用意に乱獲されて数を減らしたものの、現在では法律で完全に保護されており、おおよそ5千羽~1万羽ほどが雪山に生息している。

世界で最も頭のいい鳥とも言われ、人間が用意した数々の(イジワルな)実験も難なく突破する明瞭な頭脳の持ち主でもある。実験の様子を撮った映像があったので、まずはこちらをさくっとご覧いただこう。


さて、このケア。その頭脳を良い方向に使えばいいのだが(実際は使っているんだろうけど)、実際は持て余した好奇心と頭脳は全力でイタズラする方向に向けられてしまっている。you tubeに数々の悪行がUPされていたので、いくつかご紹介してみよう。

動画1:スキー場でビールを飲むケア

いい飲みっぷり。コーヒーもイケる。

動画2:パトカーを襲撃するケア

ゴムの部分を執拗なまでに引きちぎる。いいぞ、もっとやれ!・・これはちょっと応援したくなる笑

動画3:交通整理をするケア

テレビのニュースにもなった映像。これは事故に繋がりそうで、ちょっと笑えないかも・・

動画4:登山者のバックパックを引きちぎろうとするケア

これは僕もまったく同じ場所でまったく同じ経験をした。アバランチ・ピークという山の山頂には、ケアが待ち構えている。

動画5:車のマフラーに頭を突っ込むケア

ニュージーランドあるある話。車を停めたら、山のギャングたちの餌食。

僕のケア遭遇体験談

僕も南島のトレッキングの最中にこの鳥になんども出くわしたことがある。

ミルフォード・トラックという有名なコースを3泊4日で踏破しようと歩いてた時のこと。
コース上にある山小屋(ハット)に着くと、そこは上空にけたたましい「ケェエエエエエア!」という声がこだます森だった。これはもちろん、名前のもとにもなったケアの鳴き声だ。夕方になって、常駐のレンジャーが宿泊客を集めて説明会をするというのでロビーに集まった。一体何の話をするんだ・・?と思っていたら、レンジャーは「ケア対策」のことを熱心に話してくれた。

「ケアはイタズラ大好きでなんでも持って行ってしまいます。絶対に小物や靴は外に出しっぱなしにしないように。誰だって、明日から片足で歩きたくはないでしょう?」

それでも30人近くいる登山客のすべての荷物――特に臭う靴――を小屋内に入れるのは何とも居心地が悪いではないか・・・そう誰かが不満を漏らすと、レンジャーはこう切り返して笑いを誘った。

「靴を外に置いても構いません。その場合は靴同士をヒモで結んでおいてください。それでも、明日には靴がなくなっているかもしれません・・つまり、これはロシアン・ルーレットのようなものです。靴を外に置いたら、自分のがケアに選ばれないように祈るしかありません。」

翌朝は運よく誰の靴も持って行かれてなかったけれど、小屋の周りのいたるところにケアがいた。かわいい顔して頭のいい動物特有の動き方をするので、靴や装備を持ち去られないように「よ、用心しないと・・!」と危機感を募らせたのを覚えている。

 

皆もニュージーランドの山でケアに出会ったら、靴を持って行かれないように、そして車を壊されないように気を付けて観察しよう。

  • 参考HP
    New Zealand Bird Online – Kea
    NZ環境省 – Kea

Last Updated on 2022年9月23日 by 外山みのる

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