オークランド市が主催する無料の「渡り鳥の観察会」があるというので行ってみた。
観察会が行われたのは、オークランド国際空港にも近い、海沿いにあるアンバリー自然公園(Ambury Regional Park)。ここは遠浅の内湾のようになっていて、たくさんの野鳥や海鳥を見ることができる。特に今回の観察会の目玉となっていたのは、これからアラスカへ向けて旅立つという渡り鳥、ゴドウィット(Godwits)と呼ばれる鳥だった。オークランドの近郊で見られる海鳥の紹介もかねて、観察会の模様をレポートしてみよう。
オークランド・アンバリー自然公園でバードウォッチング!
前回アンバリー自然公園に行ったときは冬だったので、海沿いを歩いたときも渡り鳥や海鳥はほとんど見ることはできなかった。でも、周囲のマヌカウ湾には干潟のような浅瀬がよく出ていたから、きっと夏には海鳥が見られるんだろうなぁ、と思っていたところに「渡り鳥の観察会」案内が来て、「これは行かねば!」と足を運んでみることにした。
.
朝の11時についてみると、すでに駐車場は満席に近いくらい埋まっていた。かなり人気みたいだ。車を降りて、即席の標識に従って海辺へと歩いていく。干潮のころにバードウォッチングをやるものだと思っていたけど、海を見るとどうやら今は満潮のようだ。観察会の会場が見えるにしたがって、満潮時にやる理由も分かってきた。岸からそう離れていない場所に、砂州のような小島が取り残され、そこにびっしりと海鳥が見えてきたからだ。
見れた!夏だけNZで過ごす渡り鳥、ゴッドウィット
無料で貸し出してくれた双眼鏡を、砂州を埋め尽くさんばかりにいる鳥たちに向けてみる。
・・いた!いた!面白いことに鳥の種類ごとに塊になっており、双眼鏡をちょっと横にずらすと別の一団が見えてくる。まるで鳥の品評会みたいだ。
.
上の写真では、中央の大きい灰色がbar-tailed Godwit(オオソリハシシギ)、手前の小さいのがWrybill(ハシマガリチドリ)、後ろの真っ黒い集団はOystercatcher(都鳥)が見られる。説明員の話によると、このGodwitは夏の間をニュージーランドで過ごすと、3~4月ごろに中国や日本をめがけて1万キロもの旅をするのだそうだ。
僕がずっと見たいと思っていた、ニュージーランドではかなり貴重な鳥、Royal Spoonbill(オーストラリア ヘラサギ)も、ちょっと離れたところに群れになっていた。ぶっといクチバシが、まるで冗談みたいに取ってくっつけたみたいで面白い。
.
僕の撮った写真だけだと灰色と白のツブツブしか写っていないので(笑)、最後に僕がこの観察会で見れた鳥たちを写真つきで紹介しておこう。
オークランドで見られる渡り鳥&海鳥7選
僕が2月に参加した、オークランドのアンバリー自然公園(Ambury Regional Park)で見られた渡り鳥や海鳥は以下の通り。
Bar-tailed Godwit (オオソリハシシギ)
約40センチと大きめの渡り鳥。上で紹介したとおり、夏のニュージーランドを満喫して体重を増やすと、3月4月にかけて北半球に飛び立ち、1万キロ以上も飛び続けて中国や日本を経由、最終的にはアラスカやシベリアを目指す。ニュージーランドに渡りをする個体は約10万羽と最もおおく、オークランド地域ではよく見られる鳥だ。
Lesser Knot(コオバシギ)
大きさは24センチと、Godwitの半分くらい。アンバリー自然公園では、このレッサーノットとゴッドウィットは一緒くたになって群れていた。ニュージーランドでは二番目によく見かける渡り鳥で、NZまで渡ってくるのは7,000羽ほど。僕が今回観察したオークランドのマヌカウ湾に多い。夏をNZで過ごし、3~4月ごろに北極圏へ渡りをする。
Wrybill (ハシマガリチドリ)
世界で唯一、くちばしが横向きに曲がった鳥。ニュージーランド固有種で、国内で渡りをする”漂鳥”。
1~8月をオークランドのマヌカウ湾などで過ごすと、春~夏の時期はオタゴなどの南島に渡る。クチバシが曲がっているのは、干潟などで餌を捕りやすくするためだ。
New Zealand Dotterel (ニュージーランドチドリ)
ニュージーランドではなぜがとても人気のあるニュージーランド・チドリ。固有種にして数が少ない(1,400羽ほど)ので大切にされている。ビーチに堀った窪みで子育てをする習性があるので、もし巣があると分かると周囲に厳重に柵がされ、人間が近寄らないように注意書きの看板が即座に建てられるほどだ。
子育て中に巣に危険が近づくと、親鳥は「擬傷」といってケガをしたふりをしながら巣を離れ、捕食者からの注意を自分に向けようとする。(こういうけなげな姿勢がNZ人に好評なのかも!?)
Pied Stilt (セイタカシギ)
一度みたら忘れない、足のスラッとしたスマートな容姿をもつスティルト、セイタカシギ。浅瀬では割とふつうに見かける鳥だ。
南島に生息する近縁種「Black Stilt」は世界でも最も絶滅に瀕した鳥で、100羽程度しか確認されていない。外来種のイタチやネコに捕食されてしまっているらしい。
Pied Oystercatcher(ミヤコドリ)
こちらも個性的すぎて一度見たら忘れない鳥。蛍光色のオレンジの嘴に、真っ黒い(あるいはシロクロ)の体。その名の通り牡蛎など2枚貝を主に食べている。オークランドでは普通に見かける。
Royal Spoonbill(オーストラリアヘラサギ)
真っ白で大型(77センチ)のヘラサギ。その名の通りスプーンのような幅広いくちばしが特徴的。この“ヘラ”を使って干潟や浅瀬の泥の中にいる小さな生き物たちをこしとるようにして食べる。
ニュージーランドでは1949年に初めて繁殖が確認され、以後急速に増えつつある。・・とはいえまだまだ見られる場所は相当限られており、ニュージーランドのヘラサギは「見れたらラッキー!」なレアな鳥だ。
今回僕が観察したオークランドのマヌカウ湾なら見られるし、オークランド動物園の周囲にある公園ウェスタン・スプリングスにも営巣が確認されている。
Last Updated on 2022年9月24日 by 外山みのる
コメントはこちら