NATUREニュージーランド

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心ゆさぶる“洞窟の星空”・・土ボタルの「ワイトモケーブ」体験記

心ゆさぶる“洞窟の星空”・・土ボタルの「ワイトモケーブ」体験記

ニュージーランド北島で最も有名な観光地のひとつに、「ワイトモ・ケーブ」という鍾乳洞がある。

ここは世界的にも珍しく、洞窟内に生息する土ボタル(グロウワーム)が光を放つ“洞窟の星空”を鑑賞することができる場所だ。この“洞窟の星空”は世界遺産になってもいいと思うくらい素晴らしいもので、あまりに感動的でほかの観光地と比べてちょっと“別格”な感さえある、北島観光のハイライトとなっている。

さて、インターネット上でワイトモケーブの検索をかけると、団体ツアーや行きかたの情報ばかりで、あまり現地に到着してからのこと、つまり洞窟の楽しみ方そのものの情報がないことが気になった。ワイトモケーブは洞窟“群”となっており、「ワイトモケーブ」だけでなく「アラヌイケーブ」「ルアクリケーブ」という3つの洞窟がある。それぞれに所要時間や見れるものが違うので、この記事ではまずワイトモケーブの体験談を紹介した上で、これら3つの洞窟のツアー内容や料金についても別の記事で書いてみたい。




見事な鍾乳洞&土ボタル!「ワイトモ・ケーブ」のガイドウォーク体験談

いざ、ワイトモケーブへ!(ワイトモケーブのガイドウォークのチケット売り場)
いざ、ワイトモケーブへ!(ワイトモケーブのガイドウォークのチケット売り場)

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3つの洞窟のうち、まず僕が参加したのは、ワイトモケーブのガイドウォーク(所要時間:約45分)。現地にオフィスを置くツアーガイド会社「waitomo glowworm Caves」のチケット売り場のすぐ裏手から始まり、最初は森をちょっと歩いて、小さな入口から洞窟へと入っていく。洞窟を歩きだした僕の最初の感想と言えば、

「く・・暗い!!」

ということだった(笑)。洞窟の散策というと、山口県の秋芳洞(しゅうほうどう)みたいな照明の効いた洞窟をイメージしてしまうのだけど、ここはよくも悪くもニュージーランド。ほとんど必要最低限の、時にはそれ以下のライトしか使っておらず、皆おっかなびっくりしながら進んでいくのだ。

waitomo caveの鍾乳洞 by Flicker
waitomo caveの鍾乳洞

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3,000万年前の海底の有機物が固まってできた石灰石。それが地殻変動によって地面に押し上げられて水の流れに削られ、気の遠くなるような年月をかけて出来上がったのがワイトモケーブだ。手が届きそうな距離に鍾乳石が垂れ下がり、洞窟の奥には通称「大聖堂 (カセードラル)」と呼ばれる大きな地下空間が広がっている。土ボタルで有名なワイトモケーブだけど、鍾乳洞そのものも本当に立派だ。

いよいよ“洞窟の星空”。土ボタルの川を小舟で下る

淡い光を放つ土ボタル 
淡い光を放つ土ボタル by Flicker

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「大聖堂」を通過し、もうすっかり土ボタルのことを忘れて鍾乳洞に感動していたころ、ガイドさんがふいに「ちょっと暗くするね。よーく見てみて・・・」とライトを消し、あたりは文字通り真っ暗闇になった。

そう、その場所に、青白く光るグローワーム、土ボタルがいたのだ。蜘蛛の糸のようなものをいくつも垂れ下げて、お尻を蛍のように光らせて獲物をおびき寄せる土ボタル・・その淡い光が天井にちらほらと見える。さらに洞窟内部に進んでいくと、川の流れに近づくにしたがって土ボタルの数も目に見えて増えてきた。あちこちに土ボタルの星空が出始めたころ、いよいよハイライトとなる小舟の前に到着。ここからゴール地点まで、小船で暗闇の川を下っていく。

地下40mとも言われる洞窟で舟に乗り込むというのも不思議な体験だ。
1人ずつ静かに乗り込み、「さぁ行くよ」という合図で舟は音もなく進んでいく。・・と、すぐに僕らは瞬きするのを忘れるほどの景色の中に入っていった。天井の高さは2~3mほどだろうか。立ち上がれば届きそうな洞窟内の天井いっぱいに、まるで夜空にかかる天の川のように、青白い光がひしめき合っていたのだ。

写真では伝わりきらない神秘的な瞬間だ
写真では伝わりきらない神秘的な瞬間だ photo by flicker

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音もない、光もない漆黒の闇に、幻想みたいに広がる満天の星空。
僕はちょっとだけ映画「アバター」の世界を連想した。けど、すぐに、いやそれ以上だ・・と思った。こんな神秘的な場所がこの世にあるのか、と。映画や小説よりもこの目の前の現実のほうがよほど奇跡的だ。想像さえできない幻想的な光景が、この世界には本当にあるのだ。

これを最初に見つけた はるか昔のマオリ族は、いったいどんな気持ちでこの奇跡のような光景を眺めたんだろう?
日本人と同じように自然に神が宿ると信じるマオリ族は、きっとこの光り輝く洞窟にも、神を見たんじゃないだろうか。
そんなことを半ば確信に近いかたちで思うほど、このワイトモケーブのハイライトは強烈な印象を残してくれたのだった。

ワイトモケーブのツアーで実際に乗る小舟
ワイトモケーブのツアーで実際に乗る小舟 by Flicker

ワイトモケーブだけじゃもったいない!ほかの2つも観てみよう。

waitomo glowwom Caves のHPより

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ワイトモケーブだけなら、入場料は大人55ドル、子ども25ドル(2022年現在)
予約はインターネットからできる。(waitomo Glowworm Cavesのページへ)

ただ、確かに土ボタルだけを目的とするならワイトモケーブが圧倒的にスゴイけれど、主要都市からはるばる数時間もかけてやってきて、たった45分のツアーに参加してトンボ帰りするのは実にもったいないと思う。

僕は「ワイトモケーブ」だけでなく、同じチケット売り場で買える「アラヌイケーブ」「ルアクリケーブ」もツアーに参加したが、そのどれもが特徴があって、とても印象に残る体験だった。次の記事では、これら2つの洞窟の体験談と、これらの洞窟の料金体系や参加方法について書いてみたいと思う。

NZ北島の観光地・ワイトモケーブ。ここは土ボタルが見られる場所として知られ、洞窟内の小川を小舟で下って「洞窟の星空」を鑑賞するアクティビティーは世界中からの観光客を魅了してやまない。ただ、このワイトモケーブ、日本語では単に「ワイトモケーブ」と書かれることが多いものの、英語のサイトやパンフレットをよく見ると「Waitomo Caves」と最後に複数形の「s」が入っていることに気が付くと思う。そう、つまりワイトモにはいくつかの洞窟があって、それぞれ見られるものに違いがあるのだ。この記事では、「ワイトモケーブ」の...

Last Updated on 2022年9月25日 by 外山みのる

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