NATUREニュージーランド

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縄文杉とも姉妹木。ニュージーランド最大の木「森の神」はこんな姿だった!

縄文杉とも姉妹木。ニュージーランド最大の木「森の神」はこんな姿だった!

「一泊二日でNZ北島の北部を観光しよう!」

まだニュージーランド経験が浅い友人たちとそんな計画をたてたことがある。最大都市オークランドから250キロも北の森にある「ニュージーランド最大の樹」を見るべく、周辺の観光もかねてドライブに出かけることなったのだ。

その最大の樹はカウリという木で、マオリ族からは「森の神」とも呼ばれるらしい。
今日は巨木を巡る旅の話をしてみよう。




「森の神」に会いに、一路北へ!

日の出前のオークランドは濃霧に包まれていた。

昼前には現地に着けるように早めに出発すると、早朝の濃霧が高速道路にも覆いかぶさっていて、朝陽がのぼってもライトをつけながらのらりくらりと車を走らせた。ニュージーランド最大の樹「森の神(タネ・マフタ)」があるのは、ニュージーランドの最北部と言ってもいい北の果ての方にある「ワイポウア Waipoua」という森だ。ここは周辺に街らしい街がほとんどなく、電車もバスもろくに通っていないので、車(あるいはレンタカー)でしか行くことができない。そんなちょっとした秘境のような場所へ向かっていた。

こんな景色が延々と続く。

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限りなく広々とした牧草地を抜け、町はだんだんと小さくなり、いくつものカーブを超えると、やがて森に入っていった。山道がおおいおかげで4時間近くかかったが、やっと「ワイポウア」を示す看板が目に入ってきた。森に入り気温が一段と下がったようで、ひんやりとした空気を外に感じる。「Tane Mahuta」と書かれた看板を過ぎてすぐの小さな駐車場に車を停めてエンジンを切る。シンとした静寂と湿気をはらんだ冷たい空気を肌に感じて、少しだけ緊張感を覚えた。このすぐ先に、ニュージーランド最大の神の木が佇んでいるのだ。

タネ・マフタの看板がみえてきた。

信じられないカウリの巨木。それを前に、人は・・

実は「森の神」は歩いて10分足らずで見に行くことができる。
僕はその事前情報をすっかり忘れて、友人らとしゃべりながらボードウォークを軽快に歩いていた。
すると、はて、前方の右手にベンチが見えてきた。なんだろう、何を見るためのベンチだろう。
そう何気なく左手を見たとき、僕は言葉を失ってしまった。

森の神(タネ・マフタ)

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周囲の木々とはまるで大きさの違う、あまりに大きな幹がすぐ目の前に佇んでいた。あまりに大きくて、「すごい」の言葉さえ出ない。どんな言葉にも置き換えられない存在を目の前にすると、ひとは思考が固まってしまうらしい。しばらくの間あっけにとられ、そのあまりに大きな樹を見つめていた。

森の神の全体像

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僕は「森の神(タネ・マフタ)」の前に棒立ちになりながら、昔ここにたどり着いたマオリ族のことをふと考えていた。
先住民マオリが初めてこのニュージーランドにやってきたとき、道路もない時代に森をかきわけ、この北方の森に移り住んできた一族がいただろう。やがて森の先にある、天を突くような巨木を認めた瞬間がきっとあったはずだ。その時、彼らはどうしただろう?きっとだれも言葉を発しなかったに違いない。「神」と出会ってしまった事実に、ただただ畏怖のようなものを覚えたに違いない。

ベンチにすわってそのあともしばらく眺めていると、何人かの観光客もやってきた。彼らの反応もまた同じだった。誰もが壁のような幹を目に入れた途端、立ち止まって、息を殺すようにただただ見上げていたのだった。

屋久島の「縄文杉」と姉妹木

屋久島の縄文杉(筆者撮影2010)

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森の神、マオリ語でタネ・マフタと呼ばれるカウリの巨木は、樹齢推定2500年、胴回り14m、高さ52mもあるとされている。先住民族から神と崇められ、神話にも登場するなど文化的にも重要な木でもある。

これらの特徴は、そっくりそのまま日本の縄文杉にも言えることだ。
屋久島にある、ご存じ日本最古の木・縄文杉。樹齢推定3000年以上、胴回り16.1m、高さ30mもある巨木で、古くから島民の山岳信仰上の神の化身と敬われてきたとされている。
これらの特徴から、2009年に両者は姉妹都市ならぬ「姉妹木」提携を結んでいる。

北半球の神の化身と、南半球の森の神。たくさんの人が飛行機や船を乗り継いではるばる屋久島に向かうように、もっとたくさんの日本人にニュージーランドの「ワイポウア」の森に行き、自分の目で「タネ・マフタ」を見てほしいと思う。一本の木を観に、南半球へ、なんだか面白そうではないか。

※この記事はTrip’sに寄稿した記事を加筆修正したものです。元記事はこちら

ワイポウアの4本のトレッキングコース案内は別の記事にまとめたので参照してほしい。

北島の観光のハイライトと言えばロトルアの温泉やワイトモケーブなどいろいろとあるけれど、『Nature ニュージーランド』として外してほしくないのは、北の果てにある『ワイポウア・フォレスト (Waipoua Forest)』だ。ここはニュージーランド最大の樹として知られるカウリの巨木「タネ・マフタ」など、太古のままの自然がそのまま残った数少ない場所の一つ。このページでは、ワイポウアの森を味わうための4つのトレッキングコースを挙げてみよう。ワイポウア・フォレストのコース概要ワイポウアの森の主なトレッキングコースは4本。...

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Last Updated on 2022年9月24日 by 外山みのる

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